TPP参加は国益に適う。

 TPP参加により国際的に競争力が弱いとされる産業が輸入品により凌駕されるという懸念が取り沙汰されている。確かに関税がなくなると一部の商品は壊滅的な打撃を受けるだろう。例えば小麦は大幅な関税に守られている現在でも国内生産量は極めて少ない。単に国内小麦製品価格を政府介入によって吊り上げる効果しか果たしていないのが実情だ。


 


 牛肉に関しても、霜降りの高級牛肉へ国民の嗜好が特化しているのか、というとそうでもない。多様な選択肢の中で消費者は生活様式と必要性から賢明な消費行動をしているようだ。だから輸入牛肉が半値になったとしても国産牛肉が壊滅的になることはない。ただ、全体として輸入牛肉が増えれば国産牛肉の消費が減少するだけだ。しかし、それにより国内消費の落ち込みを補うべく世界の高級牛肉の需要に応えるべく和牛肉の輸出も振興されるだろう。世界は和牛肉の美味さを認識している。


 


 コメも減反政策などという馬鹿げた政策は全廃すべきだ。本来ならこれほど国内生産田圃が荒廃しなかったのではないだろうか。減反により耕作しない田圃が全国に広がり、雑草まみれの田圃が目につくようになった。


 今でこそ米粉によるパン作りも開発されたが、米価つり上げと生産調整をしなければ、米価下落と生産米の過剰からコメ食以外の用途への開発が早い段階から進んだはずだ。保護政策は必ず産業の停滞を招くし、世界的競争力はますます失われていく。独り立ちできない脆弱な産業へと転落し、ついには衰退して消え去っていく運命を辿ることになる。


 


 TPPへの加入によって国内輸出製造業は世界標準で輸出できることになる。それを取り上げて馬鹿な大臣のように1.5%の農業生産で他の企業生産を養えるのか、といった発想を持ってはならない。たとえ1.5%の生産金額しかなくても、農業はこの国にとって生命線だ。動物としての人間は食がなければ生きていけない。政府はまず国民を飢えさせないことが一義的な使命だ。国民が飢え死にしていてどのような高邁な理念を掲げても絵に描いた餅だ。政府要人や政治家による農業を蔑にした発言は慎むべきだ。彼らが選ばれて国政に携わっているのはどの産業を潰すためでもないはずだ。


 


 TPP加入を機に、日本政府は農業者と提携して輸出農産品の開発と生産を行うべきだ。ただし、補助金などを出してはならない。脆弱な産業として出発すればついに独り立ちできない、脆弱な産業として生き続けることになるからだ。ただ、輸出業務や輸出先の国情と相手国民の消費行動の情報を提供すべきだ。そうした手助けは大いにしなければならない。日本政府の政策で決定的に欠けているのはそうしたソフト面での支援だった。


 


 国内に関してもトレーに入れて販売するような馬鹿げたことは止めるようにすべきだ。環境といいつつ環境にこれほど負荷をかけている習慣は他にないだろう。世界の市場を見ると分かるが、すべて野菜も果物も山積とされ必要な個数だけ消費者は購入している。そうして流通コスト削減をして賢い消費を国民にしてもらうことも必要だ。消費者に最も近い農地は国内の田畑だ。世界と競争できる条件が一つだけは確実に手の中にある。農地法の規制も撤廃して圃場整備した農地で野菜や果実を自由に作っても良いとしなければならない。すべてコメ作に適した田圃ばかりではないし、そうした経済性による適地適作は農業者の判断に任せれば良いのではないだろうか。


 


 農業にせよ工業にせよ、現在のありようを固定的に考える弊害に気付かなければならない。TPPに加入すれば必然的に従前の仕組みでは対応できなくなるのは論を俟たない。新しい仕組みが目の前に現れれば新しい対応をするのはそれ相当の知恵が必要なのは当然のことだ。既得権にすがる老人の意見ではなく、これからの日本を託す現場を預かる若者の意見をまず聴こう。



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