中国国内経済は危機的な様相を呈している。

 


  中国の国内マネーサプライはGDPの実に260%に達し、マネーサプライによる流動性(マーシャルK)は180%に達して米国の60%をはるかに超えている。国内消費者物価は農産物と食料品で高騰の様相を呈し、食用油の店頭価格を一日に3回も変えるスーパーもあって平均所帯で一か月あたり食費が数百元も増加しているという。


 


 不動産バブルも崩壊の一歩手前まで来ているといわざるを得ない。新規不動産購入平均年齢が27歳になったと報じている。いかに過熱しているかが窺えて、さすがに中央政府も金利上昇させざるを得ないが、それがまた海外投機資金の流入を招いてマネーゲーム状態をさらに煽りかねないと、金融当局に機敏な対応を躊躇させている。金利政策一つとっても既に中国中央政府は制御できない状態に陥りつつあるようだ。


 


 かつて日本は不動産バブルに見舞われてその後の金融不況という長いトンネルを経験した。中国は不動産バブルから生活必需品バブルというインフレに見舞われはじめ、中央政府はついに金利の大幅な上昇策に転じざるを得ない。バブル抑制策を実行しなければ日本が経験したバブル崩壊と同じ道をたどることになると金融当局は認識しているが、地方政府がまだまだ低い地方住民の消費生活の質と量を高めなければあらゆる暴動の元凶になりかねず、必ずしも中央政府の意図通りに地方政府が従うとも思えない。


 


 そこが日本と決定的に違うところで、日本と比して広大な国土と十倍に達する人口の巨大国家で日本のバブル期よりも想像を絶する貧富の格差が社会的要因を主な理由として存在する国民の、とりわけ地方住民の不満を解消するには地方政府は中央政府が金融引き締め策に転じても、地方政府は地方経済水準引き揚げの強い要請圧力に抗しきれず、中央政府が認めない地方債を地方政府が勝手に発行してマネーサプライを増やし続けると思われる。


 


 以前から海岸部と内陸部との経済格差は指摘されてきた。しかし中央政府は戸籍制度を梃に内陸部の人口移動を制限してきた。それにより暴動の海岸部への伝染を抑止してきたが、それもすでにネットを中心とする情報の拡散により地方住民が地方の現状を知るところとなった。ベルリンの壁は「テレビ電波」により砕かれたのだといわれている。テレビ電波はベルリンの壁を越えて東ドイツ国民に自分たちの置かれている現状の酷さを認識した。中国ではいかに報道規制しようとネットの自由な風が海岸部だけでなく内陸部へも吹き込んでいる。もはや中央政府が統制し制御できる部門と範囲は限られてきた。


 


 中国は制御不能な不動産バブルに踊っている。金利上昇策に転じてマネーサプライを抑止しようとしても、かえって海外の投機資金を呼び込むことになりかねない。地方政府の幹部も自分たちの命と財産を守るために中央政府の命に服しなくなっている。その格好の証が中央政府の禁じる「地方債」の発行だ。バブルは地方でも起こっている。この場合は穀物や食用油の「先物買い」へと投機資金が集中し、庶民の暮らしを直撃する。その兆候は如実に表れている。大豆は大幅に高騰し始めているし、砂糖も不作も手伝って投機資金の標的になっているようだ。


 


 中国は経済拡大こそが「国家目標」として経済成長に驀進してきた。しかし物事には必ず裏と表がある。そろそろ中国は経済成長の総決算に迫られている。日本の企業で中国と深くかかわっている経営者は今まで以上に心して中国の経済動向を注目しなければならないだろう。



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