内政ガタガタで国際会議で何を言うのだろうか。

 横浜で開催されたAREC国際会議で菅首相は日本政府を代表して「日本は第二の開国をする」と宣言したようだ。それならTPPへの加入決定に関して無様な先送りをどのように説明するのだろうか。環太平洋諸国の貿易障壁を取り除き、自由な貿易により相互に利益を手にしていこうとするのがAPECの主旨ではなかっただろうか。


 


 農産物を自由化すると国内農業は壊滅する、というのが農協を格とするTPP加入反対の主旨だ。つまり輸入農産物には高い関税を課して国内農産物と価格差を設けないとする一見まともな考え方のようだが、実は関税を課して得た莫大な特会を、例えば「畜産振興会」などという外郭団体に流して、省庁から天下りする巨大な利権構造を構築している。つまり国民に高い牛肉を買わすことは国内畜産を守ることで、同時に自分たちにも旨味のあることだから断じてTPPに反対するということなのだ。


 


 菅首相は改造内閣で自民党の農水族であった鹿野氏を農水大臣に据え、農業団体から選挙で支援を受けている玄葉氏を政調兼任大臣として内閣に取り込んでいる。そのためTPPを閣議決定するのは困難だといわれているのだ。


 かつて小沢氏が代表の頃の民主党は農業も自由化すべきとして安価な農産物による経済的な利益を得る国民から税として徴収した資金により「戸別補償」を農家に与えて足腰が強くなるまで支援しようとした。自民党など野党はバラ撒きだと非難したが、整合性の取れた政策で日本の農業も国際競争の中で生き延びる知恵と技術を手にしなければならないとするものだ。


 


 補助金漬けの産業に未来はないというのは真実だ。世界で対等に戦える産業でなければ若者を惹きつけることはできない。


 日本の農業は日本人の最も身近な場所に生産拠点を持っている。それだけでも大きなアドバンテージだ。それが生かせない農業は本来の農業とはいえないだろう。


 食料自給40%は農水省による誤魔化しだ。カロリーベースで算出しているのは世界でも日本と韓国だけで、世界各国は消費金額ベースで自給率を算出している。それで日本の自給率を弾くと67%となり、英国を抜いて世界第五位となる。減反政策をしていて自給率67%ということは政策を転換すれば100%を超えることも絵空事ではない。


 


 戦後の学校給食で米国の大量に余った小麦を消費する手段としてパン食が導入された。現在では小麦はほとんど輸入だ。これからも分かることだが、日本の自給率をカロリーベースで弾く限り50%を超えることは決してない。カロリーベースで算出する限り農水省は「国民が飢えて良いのか」との掛け声で莫大な予算を確保できる勘定だ。巨大な利権省庁はカロリーべースの自給率という虚構で作られた食量危機に基づいている。


 


 そうした根本にメスを入れずTPPを先送りして、菅氏は大きな顔をしてAPECの議長として自由貿易促進が言えるものだと、厚顔無恥さ加減に呆れ返るばかりだ。



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