円高対策に本気で取り組め。

 NY市場では為替介入した当初の82円台へ突入したという。世界経済の減速感からドルやユーロのタレ流しは止まらず、比較的自律的金融政策を取っている日本の「円」が世界の投資家が安全な通貨として「買い」に回っているためだ。


 


 日本の財務省が国家財政の危機を煽っているが、世界の投資家は大したことではないとみているのだ。日本の国家財政は確かに莫大な国債残高を抱えているが、その95%は国内市場で消化され、海外で消化されている日本国債を対外債務としてカウントし海外投資総額の対外債権とを比べれば日本は世界に冠たる金満大国なのだ。


 


 中国は「元」安に支えられた好調な輸出で手に入れた外貨を資源獲得世界戦略でアフリカや南米へ湯水のごとく使っている。それによって今後も経済成長に必要とされる資源を囲い込んでいる。それに対して日本はどうだろうか。この度の尖閣諸島問題で中国所有のシアアース制裁措置に慌ててカザフスタンとレアアース開発に関して交渉を始めた。その一方で米国のイラン制裁に歩調を合せろ、と米国から脅されてイランの石油権益を手放し、それをそっくり中国に取られたりしている。


 


 民主党政権になってから日本政府に国家戦略局が作られたようだが、それはどの方向へ向かった国家戦略を打ち立てようとしているのか明確でない。つまり米国に隷属した状態のまま推移するのなら米国の顔色を窺っていれば良いだけだから、日本に国家戦略は必要ないだろう。そうではなくたとえ米国の国益と衝突しようとも日本の国民のために必要な措置は講じていくという立場なら、明確な方向性の確立と長期戦略が必要だろう。


 


 中国を牽制しつつ日本の経済力を高め国民経済を拡大させるつもりなら日本の持てる力をその方向へ結集すべきだ。つまり韓国は欧州とFTAを結んで関税を引き下げ欧州市場へ輸出攻勢をかけようとしている。それに対して日本は欧州との関係を深めるのに米国に配慮して躊躇している。したがって家電や自動車などで日本企業は今後欧州市場で苦戦することが予想される。


 


 どこまで日本は米国の顔色を窺って存続するつもりだろうか。本当に米国は日本をパートナーと見做しているのだろうか。日本は米国を信頼していて大丈夫なのだろうか。そうしたことからあらゆる要素を検討するのが「国家戦略」の入り口だ。


 日本国内には米国への依存関係をまず是認して、そこから世界を眺めるアナリストが溢れている。それが本当に正しい選択なのか、ということすら検証しようとしていない。


 


 円高対策に関しても米国への遠慮から強力な対策が打てないまま国内産業は体力を益々奪われ、国外移転せざるを得ない状況を招来している。そこで法人税をいくら引き下げても、それ以上の増税効果よりも強力な「円高」効果に国内企業は見舞われているのだ。馬鹿げた話だ。法人税に手を付けなくても円が120円程度まで安くなれば、国内企業は輸出活力が回復して増収増益となり法人税収は一気に回復する。消費税増収議論も吹っ飛ぶのだ。


 


 米国の桎梏にがんじがらめに搾り上げられて、日本経済は逼塞している。それに対して中国経済が好調なのは元安による輸出拡大基調に支えられている。日本も中国に負けないほど国内の外貨に見合うほど対外投資をどんどん行い、円を世界へタレ流して世界の資源獲得競争へ参入しなくては国家百年の計を誤るのは間違いないだろう。今はまだ良いが、経済力をこのまま失っていけば、いつの日にか弊履を投げ捨てるように米国が日本を見放す日が来るだろう。見放すだけならまだ良い。他の国と話し合って日本を分け取りされる事態も想定しなければならない。


 


 国会の愚かな非難の応酬にマスコミが喜んでコメントしているが、日本の事態はそんな能天気な状態ではないだろう。政治家はマスコミに嵌められたように馬鹿げた罵り合いをするのではなく、国家戦略に対して本気で与野党とも取り組まなければならない。それこそが政治家本来の役目だ。



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