法治国家になじまない制度だ。

 第五検審会の議決は「疑わしきは裁判で黒白つける」という極めて危険な判断から強制起訴を選択した。なぜ危険なのか。一般人もさることながら、政治家が起訴されると被告人として政治家としての活動が制限される。致命的な影響を及ぼす強制力のある議決を、構成委員の名や経歴すら分からない平均年齢30.9才の11人によってなされた。これが民主的な手続きといえるだろうか。


 


 法の公正・公平性から小沢氏に適用された政治資金規正法の厳格な運用は他の政治家にも当然適用されなければならない。東京地検は法の適用に恣意性はまったく存在しないといえるのか、明らかにしなければならないだろう。


 警察がスピード違反を取り締まるのに違反と認定した者だけから罰金を徴収するのとこの場合は異なる。政治資金収支報告書はすべての政治後援会は提出義務があり、全国の国会議員から地方議員に到るまで記載の上提出している。いつでも検察は適正に記載されているか検証可能だ。まずはすべての国会議員の政治資金規正法に基づく収支報告書の時効の適用になる直前の過年度部分から調査に取り掛かるべきだ。小沢氏の捜査では30億円も費やしたそうだが、総務省の選挙管理委員会に保管されている収支報告書をすべて精査すべきだ。


 


 小沢氏の捜査情報を検察はリークと疑われても仕方のない方法で大マスコミに垂れ流したが、それが恣意的なものでなく適正な記者会見で明らかにすべき範囲だったのか、改めて自己検証しなければならないだろう。そして同じように他の政治家に対しても情報を垂れ流して被疑者と思い描いた人を罪の海に沈めるつもりなのか、検察は覚悟を決めて記者会見で明らかにしなければならないだろう。検察は実に汚い方法で小沢氏に巨悪のイメージを着せた。これが犯罪でなくてなんだろうか。そしてマスコミも悪乗りして小沢氏を追い詰めるような事件の全体像を解明しようともしないで「政治とカネ」なる文言を濫用した。そこに一定の意図が働いていたと推定されても仕方のないものだ。


 


 小沢氏は自らに降りかかる火の粉を必死で払っている。それをマスコミは面白がって伝えているが、それこそが戦前の暗黒時代に繋がる冤罪の温床だと意識すらしない愚かな行為だという一片の自省もない。マスコミの劣化は甚だしい。この国のジャーナリストを任じている人物がいかに矮小な存在か、ネットの中のジャーナリズムの健全さと比較すれば明快そのものだ。澄まし顔をしてテレビで喋るMCたちがいかに無能な連中か、小沢氏の一連の報道から明らかになってきた。そして登場する記者と称する人たちがいかに不勉強にして無責任な人たちかも明らかになってきた。


 小沢氏が関与したとされる土地取引の登記簿謄本を取ればすべては明らかになるものを、彼らのテレビ番組でそれを取り上げて仔細に事実経過を検証したことが一度としてあっただろうか。


 


 人を起訴するという重大な検察の権利を「市民」に受け渡すのなら、検察はその役目を終えたことになる。速やかに解体して「市民」による起訴合戦の世の中へ移行することだ。検察は検審会の陰に隠れて責任はなくなり、山ほどの冤罪が作られるだろう。そして人々は起訴され法廷に立ち裁判員によって裁かれる。この国の劣化の正体が見えてきたようだ。「市民」を操って法を恣意的に作為する人たちは安全地帯から気に食わない人を社会的に抹殺する。もはや法治国家とはいいがたい状態がそこにはある。


 



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