菅政府の責任は重い。

 人は何によって物事を判断するのか、ということだろう。各国防衛相クラスの人物ですら客観的な史料によって「尖閣諸島」の帰属を判断していないことから明らかだ。日本はある場合には客観性を強調しながら、ある場合ではプロパガンダ報道に流されている、という大きく矛盾した行動をとっている。ここはしっかりと客観的な史実と史料、そして中国のプロパガンダに負けないアナウンスをしっかりと政府がやらなければならない。


 


 中国政府の日本政府に対する対応と制裁措置を見ると、今回の尖閣諸島の騒動は最初から仕組んできていたようですらある。仕組んで騒動を起こし、直後に温家宝がニューヨークでの国際会議の場で日本政府に非を鳴らした。これほど鮮やかな手際は驚くしかないが、中国が盗人猛々しい泥棒国家でもあることをすべての日本人の心に強く刻み込んだ。今の世代が社会の中心で影響力を発揮する今後数十年間は日本は心の底から中国を信用することはないだろう。しかし中国政府はそうしたことも織り込み済みで行動しているのかもしれない。


 


 中国はすでに経済力で日本を追い抜き、資源外交でも日本に大きく水を空け、日本から奪い取るべきものは領土だけになったと戦略を立てているのかもしれない。日本抜きの国際関係となっても中国は十分にやっていけると判断しているのであれば、日本政府と日本国民の反発なぞ取るに足らない。それも数十年だけのことだ、尖閣諸島に領土問題が存在する、と世界に宣言したことの意味と比べれば大したことではない、との判断で行動を起こしたのだろう。


 


 それに対して日本政府の無策と迷走と最悪の対応は国家としての威信を大きく殺ぐ結果になった。その責任は菅政府にあると同時に日本の大マスコミにもある。日本のジャーナリストたちは何処の国のジャーナリストかと疑うような論調を続けて来たし、今も行っている。たとえばノーベル平和賞を中国の民主活動家が受賞した件に関しても、中国政府がノルウェーに不快感を示したのに「中国政府としては民主活動家の意義を認めるわけにはいかないでしょう」などと中国政府そのものの立場に立って論評しているものまであった。なぜ堂々と「中国政府は国民による民主的手段で政権を確立する手法へ移行しなければ不当な人権抑圧政策が続くだろう」と発言しないのだろうか。それこそが中国の最大のアキレス腱なのだ。日本政府がそうした談話をあからさまに発表すると内政干渉として外交問題になるのを覚悟しなければならないが、日本のマスコミがそうした報道をするのは当然のことだ。彼らは報道の自由を保障された国家で活動しているのだから。


 


 しかし国内で検察と組んで小沢氏に対するプロパガンダを行ってきた程度のジャーナリストにして中国に「国内には靖国問題がある」と告げ口をし、韓国には「慰安婦問題を従軍ということにしたら」と知恵をつけたり、反国家的な言動を弄してきたのも間違いなく日本のジャーナリストたちだ。それも日本を代表する大マスコミに所属する社員たちだった。彼らに日本国民として自国への忠誠心は欠片ほどもなく、他国へ佞て騒動を巻き起こして自分の名を高めようとしていると疑われても仕方のない行動を取ってきた。彼らにノーベル平和賞受賞者への抑圧に対して中国政府に抗議するほどの度胸も思考回路もなくても仕方ないだろう。そもそもそういう人たちなのだから。


 


 しかし弱腰外交に徹してきた日本政府で対中国政策をどうするのだろうか。なぜ経済界に対しても「中国国内への投資を控えよ」と対抗措置を講じなかったのだろうか。中国との取引を控えて他のアジア諸国へ振り向けるべき、としなかったのだろうか。間違ってはいけない、日本は第三位に転落したとはいえまだまだ世界の経済大国なのだ。最大の武器は経済力とそれを支えも産業技術だ。中国はまだ日本の各種先端技術を必要としている。それを出し惜しみすれば外交カードに使えることを日本は意識しなければならない。安易な中国への擦り寄りをしないことだ。今回の尖閣諸島騒動で「円借款やODA」などで中国と親密に付き合っても碌なことはない、と骨身に沁みたはずだ。



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