検察は「魔術のような」怖さ。

  朝日新聞に掲載された対談の表題だ。村木元厚生省局長が対談者で、元局長は昨年6月、自称障害者団体が同制度を利用するための偽の証明書を発行するよう部下に指示したとして、虚偽有印公文書作成・同行使容疑で大阪地検特捜部に逮捕された。


 


 検事による魔術のような取調べを受け、執拗に検察の描いた事件のストーリー通りに誘導され、勝手に書かれた「自白調書」への署名を求められたりしたと、164日間もの拘留生活と取り調べに何度も心が折れそうになった。しかし真実は一つと何度も言い聞かせ、家族との文通に励まされて自白調書への署名を拒否し、ついに公判を闘い抜いた。


 


 村木元局長が逮捕された当座、各マスコミはどのような報道を繰り広げたかご記憶にあるだろうか。記憶になければ図書館で当時の新聞を広げて見られたらよく分かるはずだ。検察の発表通り、村木氏も「共犯」として、もしくは担当者に指示を与えた事件の「主犯者」だと報じているものもある。


 


 したがって、当時の国民の多くは連日の報道から村木局長が担当者に指示を与えて郵便料金不正事件が起こったのだと思い込んだ。しかし、それが捏造による冤罪として判決が出ようとしている。この事実をどのように思えばよいのだろうか。


 


 村木氏のご家族、夫と二人の娘さんが蒙った精神的な苦痛に、検察はどのように対処し、補償するつもりだろうか。そして村木氏の社会的な信用の失墜と精神的・経済的な苦痛に対して報道はどのように対処するのだろうか。検察と報道の責任は余りに大きいと言わざるを得ない。


 


 さて、今回の民主党代表選のことだ。小沢氏がサポータ票と地方議員票で菅氏の後塵を拝しているという。その大部分の原因は「政治とカネ」報道と検察にある。無理筋の贈収賄捜査につなげる意図があったのか、取るに足らない犯罪性のほとんど窺えない事件で秘書を逮捕し、さらに小沢氏への強制捜査まで行った。その一年半以上も、現在も、マスコミは「政治とカネ」報道を繰り返し、検察が不起訴判断をした後も小沢氏に対して謝罪記事を掲載するどころか、今度は検審会判断を梃に攻撃を続けている。


 


 そうした過熱した報道が国民に影響を与えないはずはなく、民主党員・サポータと地方議員に小沢氏に対するいわれなき金権批判があるのは当然だ。それ自体が大きなマスコミによる世論誘導という大問題だが、更に大きな問題なのは菅氏が演説で小沢氏の金権批判を行うに事態を目のあたりにして、マスコミが国民に擦り込んだ効果を時の首相が積極的に利用したことだ。普通の見識を持ち合わせた人物なら小沢氏を「政治とカネ」で攻撃しないで、まともな政策論争を行うべきだった。


 


 検察では不起訴としたが検審会ではまだ結論も出ていない、事件に対してさも確定しているかのような言動を時の首相がやったのは破廉恥そのものだ。代表選に勝つためには何をやっても良い、たとえ検察権力がある意図に基づいて暴走した場合、それを牽制する仕組みが三権分立のはずだが、行政の長たる首相までもマスコミに迎合して不確定な事実に基づいて個人攻撃をした。菅氏も検察や大マスコミと同罪だ。


 


 経済・景気について何もしない菅氏が「クリーン」だから良い、というのも疑問だ。クリーンなら無能・無策でもよいということなのか。しかし、果たして本人が言うほど菅氏はクリーンなのだろうか。60年以上も生きてきて叩かれて埃の一切出ない人物はその程度のものなのだ。人の泥を被ったこともなければ、人のために体を張ったこともないということなのだろう。


 


 この国の首相を決める選挙で「政治とカネ」なる実体のないプロパガンダが幅を利かすことがあってはならない。検察が今後も手を入れれば気に食わない政治家を抹殺できると変な自信を深めるだけだ。



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