too little too late
来週10兆円程度の新オペを実施するという。既に火は燃え盛っているのに、やっと腰を上げるが用意する水の量は手桶ほどでしかない。通常のオペ20兆円を30兆円にするというのだから効果のほどは疑わしい。円高にフレた当初なら10兆円も有効だったろうが、世界の投資家が緊急非難場所として「円」をターゲットにして鉄砲水のように向かっている段階となって10兆円は余りに少ない。
日銀は景気判断を適切に行っていれば今がどのような段階か分かっているはずだ。麻生政権時から実施してきたエコ買換え誘導策とエコ減税策がそろそろ期限切れになる。景気を牽引すべく有力な政策を打ってかろうじてプラスを保ってきた。外需を刺激しなければ減税効果が切れてしまえば反動により内需が落ち込むのは目に見えている。そのマイナスを補うには貿易による外需だが、円高では国際競争力はない。値下げして売れば差損で打撃を受けている国内企業は収益を割り込まざるを得ない。
そうした誰にでも分かる簡単な因果関係が目の前にあって、ここ数週間も円高を放置してきた日銀と財務省の罪は大きい。外為特会の赤字は国民の税に跳ね返って来るが、日銀の円増刷はインフレをもたらすだけだ。過度なインフレは国民経済を破壊するが、デフレも国民経済を委縮させる。景気には適切なインフレが望ましい。GDPの5割近くを占める個人消費を喚起するには物価が少しずつ上がらなければならない。物価下落段階では買い控えが続くだけだ。
それにしてもエコポイントはいかにもお役所仕事だった。分厚いカタログに掲載された限られた品物をカタログで買うしかないとは。そこにかかった経費だけでもバカにならないが、官僚に原価意識を求めるのはないものねだりかも知れない。それなら国会議員は何のために存在して国会審議はどのように機能しているのか国会議員全員の資質を疑う。
なぜ簡単な全国共通のエコ商品券を購入時に価格の一割戻すとしなかったのだろうか。分厚いカタログも必要ないし、やりとりの郵送代も必要ない。もらった商品券がすぐに暮らしに必要な品物の支払いに使えればもっと需要は喚起できただろう。政策の最大投資効果をどこが予測しているのだろうか。官僚の怠慢を感じる。
少なくとも現行のオペを超える規模の資金流量を行うべきだ。出来れば30兆規模として市中銀行へドンドン円を流し込むことだ。それを民間に貸し付けられなければ各行のトップは無能と謗れば良い。
日本は米国の要求に応える形で竹中氏が銀行の不良債権処理を徹底的に行った。必要ないという公的資金まで押しつけ、自立再建できるものまで徹底的に不良資産の評価増を行って破綻させた。そのため各行は「熱さに懲りて膾を」吹いている。現行の資金市場の委縮は竹中政策への反動だ。この状態がいつまで続くのだろうか。
効果的な施策を即時に打てなければ生き物の国際金融には対応できない。日銀と財務省の怠慢は国益を棄損するし、そうした部署を掌握できない日銀総裁と首相は交替すべきだ。優秀な人材は幾らでもいる。