盗人猛々しい、とは。

 予算委員会で賞味期限一年に満たないと思われるボウフラ政党の幹事長が菅首相に向かって「盗人猛々しい」と噛みついた。


 一瞬、彼は何と言ったのか耳を疑ったが、まさしくそう言ったのだ。文言の意味を正確に承知の上で、TPOを勘案しての発言だったのか。どうした経緯からその言葉が彼の脳裏に浮かびあがったのか、理解に苦しんだ。


 


 その文言が良く使われるのは時代物の一場面でだ。亭主持ちの小料理屋の女将が近頃亭主の素行が怪しいと思い、後をつけるとあにはからんや、亭主は自分の店で働く若い独り者の仲居が暮らす割長屋の一軒へ入っていく。激高した女将はその腰高油障子を引き開けて叫ぶのだ。「泥棒猫」と金切り声を投げつけると「ちゃんとご亭主の番をしていないからさ」と若い仲居は開き直る。この場面で件の台詞だ。「盗人猛々しい、とはお前のことだよ」。


 


 一年前のマニフェストに民主党が官僚制内閣の打破を掲げて制度改革を行うとし、公務員給与の総額を2割削減するとしたのだ。その当時、ポウフラ政党は存在してなかった。そうした発言をしていたかもしれないが、正式に「公約」としたのは民主党の方が先だ。彼らは後出しじゃんけんのように今回の参議院選挙で「政策」として出したのだ。そうした政策を早く実施しろ、と迫ったのに対して「野党から議案を提出してくれ。そうしたら与党としても検討する」と切り返したのに激怒したかのように前出の文言を投げつけたのだ。どう考えても意味が分からない。


 


 百歩譲って、ボウフラ政党の幹事長に妥当性があるとすれば、菅首相の発言が幹事長が以前言っていた政策を横取りしたことになる。そうだったのだろうか。彼らはタレントかと紛うほどテレビに頻繁に出演してチマチマと気の利いた発言で政権与党批判を繰り返していた。したり顔で政権を持っていた自民党の政策も批判していたし、民主党が政権に就いてからも民主党を批判してきた。そうした批判の中に民主党のマニフェストと重なる部分があって、自分たちこそが「本家」だとの思いから時代ががった言葉が口を衝いて出たのか。


 


 そして、民主党内では9月に代表選を睨んで各グループが集会を開いているという。さぞかし管氏は心の中で政権を奪おうとする仲間を「この泥棒猫め」と思っているに違いない。確かに現在の民主党は菅氏の民主党と小沢氏の自由党が合併して立ち上がった。菅氏は一方の旗頭として「泥棒猫め」と自分の首を狙う仲間に言う権利がある。それに対して「盗人猛々しい」と切り返す権利を有するのはただ一人小沢氏だけだ。前回の衆議院選挙が政権交代をもたらしたが、前々回の参議院選挙で勝利してネジレ国会へ自民党を追い込んだのも小沢氏だ。実質的に民主党政権を作ったのは小沢氏なのだ。


 


 だから小沢氏が9月の代表選に名乗りを上げるのが最も順当なのだが、鼈のように疑惑を振りかざして付きまとう検察と大マスコミに邪魔されている。それを良いこととして、民主党の仲間も「説明責任がある」なぞと無責任な発言をする。疑惑とは何か、と反対に民主党が問い質せばよいのに「政治とカネ」にさも実態があるがごとく黙り込む。なんとも姑息な連中だ。


 


 民主党の国会議員が筋を通すなら小沢氏に「立つべし」と促すのが本当だ。検審会の結論は「起訴不当」で落ち着くのは目に見えている。決して「不起訴不当」として小沢氏が強制起訴になることはない。この程度のバカげた「法と証拠」で小沢氏が検審会によろうと起訴されれば、検察は公判で小沢氏の疑惑なるものの実態のバカさ加減を全国民に知られてしまうことになる。それだけは避けたいだろう。


 


 民主党議員は小益を求めて右往左往するのでなく、国益のためにじっくりと考える夏の日々を送ることをお勧めする。



このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。