支持率という世論操作。
菅内閣の支持率がここに来て急上昇していると各紙が報じている。菅首相の支持率も劇的に上昇している。何ともおかしな世論調査結果だ。ネット上で実施されている支持率コンペ、たとえば「内憂外患」のものを見ると、各紙で報じられている両者の支持率とは明確に乖離している。小沢氏支持が圧倒的なのには驚くばかりだ。どちらがナマの「世論」かは論を俟たないだろう。
菅氏が首相としてどんな政策を行ったのか、どんな結果が株式市場に表れているのか、それを支持率の判断材料としない国民とはどの程度の民意なのだろうか。そして小沢氏の「政治とカネ」問題から小沢氏がヒール役で15%程度の支持率しかないと、各紙が報じている。
各紙の世論調査が歩調を合わせて菅氏と菅政権を支持しているのはおかしな風景としか映らない。9月末になれば新年度予算を巡って菅政権が立ち往生を始めるのは目に見えているのに、だ。そうした世論を背景に菅氏が小沢氏と会談して「代表選」での激突を回避しようとしているという。しかし、それこそやってはならない策動というものではないだろうか。森政権が成立した際に「密室政権」と揶揄されたのを忘れたのだろうか。
しかし国民によって検証できない「世論調査」が政治を動かすというのは何だろうか。電話による任意の人から意見を聴取して世論としているのだろうが、正確に母集団を抽出し標本を策定しているのか、世論調査そのものの手法をしっかりと各紙は国民に前に明らかにしなければならない。そして出来ることなら電話によるやりとりもインターネットで公開すべきだ。それだけの公平性の担保を行って「世論調査」として発表すべきだろう。
国も世論調査による政局づくりには断固たる措置を講じるべきだ。国民が示すべき民意は各種選挙であって、断じて各紙が実施する世論調査ではない。彼らがいつの間にか政府の上に君臨しているかのようだ。こうした馬鹿げた事態は一日も早く解消しなければ、ポピュリズム政治はいよいよ深化するばかりだ。
民主党代表選を回避しようとする動きは民主主義を否定することだ。話し合い談合政権との汚名を被って、新政権は果たして国会答弁を乗り切れるのか。それより小沢氏の「政治とカネ」問題の方が遥かに説明しやすい。なぜなら検察が不起訴とした事実関係を検察が公表した文書をコピーして渡せば済む話だ。それ以上の明快な説明はないだろう。ただし国会で集中砲火を浴びせることは検察の捜査と大マスコミの報道のいかがわしさを炙り出すためには有効かも知れないが。