人類生存の基礎材を投機対象から外せ。

 露国が旱魃と高温で森林火災が多発しているという。それに伴って小麦の不作が現実となってきて露国は国内需要分の確保を優先して小麦の輸出禁止措置を講じたため、先物の小麦相場が高騰した。日本が輸入している主要国の米国穀物市場も露国の影響を受けて高騰している。


 


 日本に限っていえば、今のところ穀物価格が高騰しても輸入トン数が削減されることはない。ただ小麦価格の高騰は麺製品やパンなどの価格にハネ返ってくると予想される。


 それでも、日本はまだ良い。世界には一日一ドル以下で暮らしている人たちが大勢いる。大勢の貧しい人たちが暮らしている国では外貨の関係から高騰した穀物を従来通り輸入することはできなくなる。世界では7人に1人が飢えている。貧しい国では5人に1人が飢えている。


 


 富める国が貧しい国を援助すれば良いではないか、という声が聞こえてきそうだが、簡単に考えない方が良い。短期的には援助は有効だが、長期的にはその国の経済や農業を破壊する。


 無償の農作物が入ってくると、その国の農業従事者は農作を放棄する。農作物を作っても売れないからだ。経済や流通も援助を中心とした体系になり、自主経済運営や物資の輸送体制を破壊される。一番良いのは援助に頼ることなくそれぞれの国家が国民とともに飢えをなくす努力をして、日本などは国家経済を破壊しない程度で支援することだ。


 


 国家は一義的には国民の命と財産を守るために存在する。国家の指導者はまず国民の生命と財産に責任を持つことだ。その指導者が金持ちに支持されているからとして金持ち優先の政治をしてはならない。一国では当たり前のことが、世界規模になると放置されて無法状態になっている。


 ハゲタカ・ファンドのことだ。今では金持ちだけではなく中国や露国などカネ余り国家が運営するファンドが世界市場へ介入している。金が儲かれば何をしても良いとする考え方だ。


 


 世界は一握りの富める国と多くの貧しい国からなっている。貧しい国(外貨準備高が極端に少ない国)は僅かな資材の高騰から輸入を断念しなければならない。それが暮らしの必需品でなければ国民は我慢すれば済むが、原油や小麦などの暮らしに欠かせないモノなら悲惨な状況になる。


 それでも世界市場は先年は実勢価格1バレル30$程度の原油を150$近くまで高騰させた。そして投資家が短期間で荒稼ぎした。一時は落ち着いた原油価格がふたたび70$前後までジリジリと高騰を続けている。儲けのためには何をしても構わない、という投機市場に自律的な抑制策を設定しなければ、現在の人類人口爆発の状態から推察するまでもなく、人類生存の基礎材が世界的に不足するのは目に見えている。


 


 そして世界の資源は人類共通の財産との観念を世界で共有する働きかけをしなければ、地球は定員オーバーの人類に食い潰されるしまうだろう。エタノールが持て囃され儲かると知ったブラジルではアマゾンの森林を破壊してエタノール用の穀物生産を爆発的に広げている。核兵器廃絶を進めるのと同じように、人類生存のための世界的な調整を人類の叡智を集めて議論すべき段階に来ていると思えるのだが。



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