与野党協議の場を作る努力は、
いやしくも国民から選ばれた国会議員が足の引っ張り合いをするとは言わないが、妥協なき主張の突き合せだけで議会が終始して良いわけはない。しかし、首相が汗を流して与野党党首をはじめ実力者や首相経験者と会談を重ねて合意形成に動いているのか疑問だ。自分は何もしないで「足の引っ張り合いは止めよう」といえば、野党が聞いてくれるとは誰も思わないだろう。
民主党の要職にある人たちはどうして記者相手に無駄口を叩くのだろうか。そうすれば記者が野党のしかるべき人と話をつけてくれるとでも思っているのだろうか。それよりもグラグラしない確固たる方針を示すのが先決ではないか。野党から提案されて「それなら議案として出してくれ」では首相の値打ちが下がるというものだ。
民主党政権で最低限すべきとしていた方針はどうなったのだろうか。まず官僚制内閣の打破は白紙になったのだろうか。天下り全面禁止はどうやら反故になったようだし、歳入庁を設けて特別会計の別財布を官僚から取り上げる件も話し合われた痕跡すらない。各省庁の外郭団体原則廃止もどうやら反故になったようだし、公務員給与の総額二割削減も空念仏で終わったようだ。何のための政権交代だったのか、国民は民主党の甘言に裏切られたのだろうか。
それでも「世論調査」では菅政権の支持率が44%に上昇し、菅政権の継続を望む声が50%を超えているという。何とも摩訶不思議な現象だが、それは「世論調査」ではなく「世論操作」だといわれれば理解できる。9月の代表選挙でこの体たらくの菅氏が代表に再選されれば民主党は次の総選挙で間違いなく大敗する。それを願うマスコミの民主党潰しだと考えれば菅政権の支持率上昇のカラクリも頷けるし、菅政権の継続を願う国民がなぜか増大する不思議な現象も理解できる。
もはや党内の支持基盤も覚束ない幽霊のような菅政権に引っ張り合いをするだけの「足」があるのか、菅氏は野党に呼び掛ける前に自問すべきだろう。そして隣国に阿るだけで問題の火種を吹いて回るだけの、国に何ら益のない菅政権は一日も早く退陣すべきだ。普天間問題についても米国へ飛んで然るべき人たちと会いもしない日本の首相が、国内で座したまま単に米国のポチに成り下がるのはもう御免だ。