民主党の党内民主主義は機能しているのか。

 菅氏は首相であると同時に民主党代表だ。党所属国会議員の代表として選ばれ、党を代表する立場であらしめるには党内民主主義をどのように実現しているかが問われる。


 民主党が民主的な政党なら政府首相談話として発表した「朝鮮併合百年談話」は何等かの党内機関で、最低限承認されていなければならない。それが民主的な政党の在り方だ。しかし政調会長の玄葉氏すら「もっと早く相談して欲しい」と不満を漏らすようでは、政調会を設けても機能していないのではないに等しい。


 


 小沢氏は剛腕・独裁のイメージが強いが、彼が幹事長にあった当時でも「反小沢」の生方氏を副幹事長のメンバーに加えていた。一時は排除しようとした側近の副幹事長を窘めて生方氏の留任を小沢氏本人が生方氏を説得した。


 むしろ党内融和を小沢氏は心がけているといえるが、その一方で実直なほど原則に従う政治手法のためマニフェストを融通無碍に改変しようとする菅氏の政府が許せないのだろう。


 


 日本国と国民は菅氏のわずか二ヶ月余の政権下でどうなっているのだろうか。具体的な経済対策の手が打たれたとは寡聞にして知らないし、喫緊の問題の「円高」に対しても来週担当大臣と会って対策を考える、という体たらくだ。日一日と円高圧力による貿易環境の悪化と為替差損を蒙ってこの夏の猛暑にも負けないほどの経営環境に苦労している輸出関連企業への対策すら、たとえば「緊急円高融資」などを行うように指示すらしていない。


 すでに輸出している企業が荷為替(LC)を相手から受け取って円に両替する際には円高の影響をもろに受ける。円高は待ったなしの毎日が決済という勝負なのだ。そうした経済実態の分からない首相はノー天気にも軽井沢で夏休みを謳歌していた。


 


 世界金融は各国紙幣がジャブジャブの状態だ。米国は国内景気刺激策で立て続けに打ち出した「グリーンニューディール」で70兆円も$を垂れ流した。中国も「不動産バブル」政策を主導する形で『元』を増刷し今までは100元が最高額紙幣だったものを今度は500元紙幣を発行するという。ユーロは圏内のギリシヤや他数か国の国家財政破綻を防ぐために緊縮策は採れないで、やはりユーロを増刷するしかない。その中にあって膨大な国債を抱えてはいるがほとんどを国内金融市場で消化しているため対外的には日本だけが安定的な通貨といえる。そのため世界から「円」が買われて高騰しているのだ。


 


 政府は機動的に金融対策を講じなければならない。このブログでここ数日来書き続けているから繰り返さないが、政府と日銀の無能・無策ぶりは国賊的だ。この間に失われて金融資産総額が幾らになるか、試算してみると良い。それらは宙に浮いた実体のないものではなく、確実に、たとえば為替特会の30兆円の損失なら税に跳ね返って来るし、本年の最安値を付けた株価は株式投資をしている投資家の損失だ。輸出企業は決済為替差損として企業収益悪化として従業員の肩に乗りかかっている。政府当局や日銀当局は円高になろうと毎月の給与が減るわけでもなく冬のボーナスがなくなるわけでもない。そうしたことから彼らにとっては他人事なのだろうか。


 


 菅首相の資質が大きく作用するのはこうした場合の問題意識だ。円相場の一円の上下を常に注視していて、何かあると即座に担当者を官邸に呼んで協議し対応策を打ち出すぐらいの即応体制であるべきだ。そうした日本の国家と国民の為に首相として資質のない人はその座を去るべきだ。この十数日来の彼の対応を見ている限りでは、残念ながら菅氏は経済をお分かりでないし、国際金融のレクチャーを専門家から受けた痕跡もない。そのうえ国内政治でも小沢氏一派を取り込もうとする戦略に転じるのでもなく、一直線に小沢派とガチンコ勝負を挑んでいるようだ。なんとも馬鹿げた間抜けな首相とその側近だ。


 


 小沢氏には検審会の「起訴相当」決議による強制起訴の危険性があるといわれている。しかし検察が不起訴としたものを一度は「起訴相当」とした市民の検審会決議が検察により再び不起訴とされた。それをメンバーがすべて入れ替わったというものの、検審会が再び「起訴相当」とするのは検察制度の否定になりかねない。検審会で強制起訴できるのなら、検察の「不起訴」や「起訴猶予」判断は余り効力を持たないことになる。何とも愚かな制度だろうか。法治国家として「法と証拠」に基づかない検審会判断が検察判断を優先するとは何とも恐ろしいことだ。しかも検審会メンバー11人は公表されず、検審会そのものも非公開で決議以降も記者会見すらない。裁判員制度と比べてもいかに非民主的な組織かお分かりだろう。国民が検証できない議論とその結果を受けて被告人は強制的に不利益を呑まされるわけだ。


 


 小沢氏が代表選で当選するとおそらく憲法75条を適用するまでもなく、小沢氏は首相として民主党を立て直し「生活が第一」の政治を実行するだろう。そのための野党との話し合いも彼ならきちんと行うだろう。米国との基地問題や防衛問題も、彼なら国益に沿って話し合うだろう。ここは菅氏にではなく小沢氏を待望し、彼の手腕にこの国をしばし託すしかないだろう。



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