民間企業並み、という前提は。

 今回の民間企業へ審議官級でも現職のまま出向しても良い、とする官民交流解禁は大問題だ。さらにはその省庁が許認可権限を握っている事業を行っている企業へも出向して良いというのならグズグズの癒着関係といわざるを得ない。政府がこうしたことを許すとは全く信じがたいことだ。


 


 天下り禁止をしたため40,50代の審議官級の官僚がだぶつくから当然の措置だとしているようだが、天下りを前提とした人事を行っていたのなら、そのことの方が問題ではないだろうか。当然のことのように議論されてきたことだが、民間企業で同期が社長になったからといって、他の者が一斉に退職するところはない。もしも退職したからといって、企業が退職後の職場を斡旋するところもない。


 


 民間企業にしても、中年の出向社員を受け入れるほど管理職ポストが空いているとは思えないし、3年程度で省庁へ帰って行く管理職と何を取り組んで仕事をしどのような効果が期待できるのだろうか。いえることは、直接許認可権限と関係した職場からの出向は禁じても、他とのバーターをするぐらいの悪知恵を官僚は持っている。つまり天下りと許認可権限とは密接に結び付くと考える方が妥当だろう。


 


 そもそも人員採用は事業遂行に最低限必要な人材を確保するためであって、仕事量を職員数に合わせるのではない。そんな人事をしたなら人事担当はクビだ。


 そして、たとえ一時的に中間管理職がだぶついたからといって、それが永遠に続くことではない。民間企業では厳しい競争を生き抜いても、50前後でいったん企業内で退職となり、別の人事考査のリストへ移るのがほとんどだ。定年退職まで右肩上がりで上がり続けるのは官僚だけといっても良いだろう。


 官僚人事は民間企業に準拠する、というのなら本当に準拠してもらいたい。たとえ課長や部長で退職しようとも、民間企業の退職者は町のハローワークの窓口へ行く。高級ハローワークが用意されているわけではなく、同等の仕事をしている他社へ3年程度の出向をしている実態があるとは思えない。つまり日本社会で非常識なことを官僚組織では常態化しようとする悪法だ。


 


 官僚組織だけが浮世離れした世間一般の常識と外れていることに国民は怒っている。不当に高い給与と年金を懐にしながら、実は民間企業と比べて暇な部署が目につくのに国民は怒っている。民間企業がIT化によりどれほど一般管理業務に従事する社員を減らしたか、それに引き替えて官僚の業務は一部現業を除いてほとんどが一般管理業務だ。それがIT化により減量したと目に見えないことに国民は怒っている。国家や地方自治体が財政破綻の危機だといいつつ、人件費総額がほとんど削減されないのに国民は怒っている。


 この怒りを放置したまま官僚に甘い顔をしたら、どんな政権ももたないと政治家は心しておくことだ。



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