予算を削減できないとする議論は官僚迎合だ。
前回やそれ以前のブログで公共事業がいかに非常識かを述べた。参議院議員会館だけを見ても床面積単位当たり建設費にして一室当たり6千万円を超えている。利用する部屋の面積に限って割り算すれば恐らく一室当たり7千万円は超えているはずで、民間のマンション建設費の十倍だ。しかも立派な外部仕様の玄関ドアもシステムキッチンもユニットバスもなしにである。
公共事業は国交省だけにあるのではない。確かに道路事業は元建設省の国交省だが、農林省にも漁港建設や圃場整備などの農業土木などや文科省にも学校や公民館などの建設事業などあらゆる省庁にあるといっても過言ではない。しかも建設費にはそれに関わる公務員給与は算入されていない。純然たる建設費で、民間がマンシュン建設原価にすべての一般管理費からテレビ広告やマンション販売社員の給与まですべて算入しての販売価格だ。いかに公共事業が凄まじいものかお分かりだろうか。
民主党が言ったほど予算額を削減できなかったではないか、と自民党議員が言うのは自らの目が節穴だったと自白しているのに等しい。ゼネコンが莫大な利益をペーパーマージンを取って下請けに流す商売をあきらめて、まともな建設業者として原価を積算して入札に参加すれば毎年莫大な予算が削減できることになる。官僚もゼネコンへの天下りを諦めることだ。さもなければギリシアのように公務員とその関連企業が国民から攻撃を受ける事態が日本でも起こると覚悟することだ。
公共事業の単価が異常なことはこれまであらゆるマスコミがタブーとして触れないできた。ジャーナリストも承知の上で書かないできた。書いたところで自分のポケットに一円たりとも入ってこない。かつて大手新聞記者とこのことに関して議論したことがあったが、彼は「このような二重価格で労働者が失業しないで済んでいるんだ」と当然のことのように論破した。それを違法だというのは子供の議論で世間知らずの理屈だと笑った。
小沢氏はまだまだ子供手当などの財源は出る、と言っているようだ。その通りだと思う。そのためには競争入札を徹底して、最低価格も民間並みの価格にしなければ意味がないだろう。最低価格を下回わる入札価格では品質が保てないとして入札から弾くのだ。しかしその最低価格自体が民間の感覚でいけば常識はずれな価格なのだ。官僚は自分のポケットから支払うのではない。理屈さえつけば多くの金額を支払いたいのが本音だ。そうすれば天下った先輩が会社で大きな顔ができるし、やがて自分も受け入れてくれるだろうと思うからだ。
この非常識な公共事業価格を公明正大な「公金横領」として提訴する市民団体が出ない限り、マスコミも参議院議員会館完成の記事は掲載しても建設価格が異常だとは一紙たりとも報じていない。何という怠慢だろうか、さもなくば官僚との密着度が官僚のなすことに無批判の段階にまで達していることの証なのだろうか。高速道路の一部無料化で早くも地方の観光地は賑わっているという。あれほど評論家諸兄やマスコミから不評だった高速道路無料化は経済波及効果があると実証できたが、同時に無料化を実施した地方の交通事故の推移も検証して戴きたいと願う。