中国『元』の弾力的運用とは。

 中国は実にうまく立ち回っているようだ。『元』の為替相場について米国から対ドル切り上げ圧力を誤魔化し誤魔化し対処している。その手腕を日本の財務省と外務省は見習うと良い。


 


 1985年のプラザ合意前後に米国がいかにえげつない圧力を日本にかけたか。トヨタ車を米国自動車産業労働者がよってたかってハンマーで叩き壊すパフォーマンスを演じて見せたりした。それを日本のマスコミは米国の忠実な犬として「大変な事態だ」と国内に報じた。日本の国益を優先して論評を加えなかった経済評論家も酷いものだった。嘘だと思うなら雑誌のバックナンバーを検証してみると良い。


 


 この国の(ということは「国民の」ということだが)国益がいかにドルに吸い取られたか、わずか10年にして1/3まで切り上げられたエン高不況を乗り切るために金融緩和に次ぐ緩和を繰り返し、仮需要が風船のように膨れ上がって、ついにはバブル崩壊による金融・不動産不況に陥った。今もその金融・不動産不況の影響下にあるといってよいだろう。


 


 中国は過熱状況の経済をいかにしてプラザ合意後の日本の轍を踏まないようにするかに腐心しているのだろう。だから「弾力的に運用する」としながらも僅かしか元を上昇させていない。それは実質的にそれ以前の標準為替制と大して変わらない相場だ。米国の言いなりにはならない、とする中国の強い意志が感じられるが、それも長くは続かないだろう。傲慢にして我儘な米国がこのまま引き下がっているとは思えない。


 


 中国産業は国内で賃金上昇圧力にさらされている。しかもITソフトの公開を巡って対立したことから、外国企業は先端技術部門を中国国内から撤退し始めている。台湾の巨大ITメーカーも中国に置く生産拠点40数万人の従業員を数年後には8万人程度まで縮小すると発表した。それは台湾だけの問題ではない。中国はITソフトの公開を今後も執拗に求めてくると思われる。企業の最高機密を公開すれば、中国は翌日には「自分の技術」と言い張ってコピー商品を作って、今度は強力なライバルになるだろう。


 これまで外国企業の資金と技術で実現してきた驚異的な経済成長を今後も維持するのは困難だろう。


 


 高度経済成長の中に塗り込められていた社会の矛盾が白漆喰が剥げ落ちて土壁が出て来るように、広い国土の各地で今以上の規模と頻度で紛争が起こるようになり中国は国家として不安定化するだろう。豊かな欧米社会を知り自由な言論が存在する世界を知った国民に、かつてのように御揃いの人民服を着せることはできない。早かれ遅かれ、中国共産党は民主化への日程を示して国民に情報開示と社会の流動性を認める方向で国内政治を改革さぜるを得ないだろう。


 


 早くも中国は10を超える地方政府が破綻の危機に瀕している。地方債の発行は認められていないが、勝手に地方政府が地方債を発行して公共事業に邁進しているというのだ。中央政府は破綻する地方政府があったとしても救済しないと表明した。


 地方政府の破綻は行政サービスが原則として無に帰するということだ。共産主義の国家でありえないことが起ころうとしている。世界に残った数少ない共産主義国家の13億人が体験する激動を、日本国民もその影響を先読みしながら対処しなければならない。



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