国益を損ねる判断は国民の理解を得られない。

 日本はポツダム宣言を受け入れて1945年8月15日に「無条件に」降伏すると連合軍に通告した。ただし「無条件」とは武装解除に関してのものであって、あらゆることを無条件としたのではない。そのことはポツダム宣言の下敷きになったカイロ宣言(多分に乱暴で事実誤認も多い会議だったが)にも戦闘行為で略奪した領土は放棄するが、条約によって取得したものは日本領土とするとある。


 


 つまり竹島や北方領土が日本のものであることもさることながら、平和的に締結された千島列島との交換条約で領土とした南樺太も日本領ということになる。そのことを国際機関で調停するように日本が求めたことが一度でもあっただろうか。メドベージェフ露国大統領と会うために麻生首相がのこのこと南樺太へ出かけたことがあったが、それを以て南樺太が露国領土と日本が認めたと見做されては堪らない。


 


 露国すなわち当時のソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破棄して日本の支配する地域に侵略してきたのであって、ソ連の軍事行動は連合軍とは異なり国際的に非難されるべきものだ。本来ならそうした国が常任理事国となっている国連に加盟するのは忸怩たるものだと国民に説明すべきだ。そして第二次世界大戦の戦勝国による世界支配の機関に過ぎない国連を改組すべきと主張すべきだ。


 


 日本政府が弱腰に徹している限り、国民は贖罪意識をいつまでたっても払拭できないだろう。当時の国際関係からいえば東アジアで欧米諸国と互角に権利を主張していた国は唯一日本だけだった。先人は刻苦精励して誇りある立場を堅持していた。何も非難されるべきことを国際的にしていたわけではなく、日韓併合も国際的に異議なくなされたものだし、清国に対しても日本は欧米列強の強い牽制と監視の下に権益を確保していったのであって、少なくとも今の国際社会で大きな顔をしている欧米列強よりも慎ましやかな行為だった。


 


 それを戦後の日本はいつまで敗戦国として貶められ、賠償を陰に陽に求められなければならないのだろうか。国と国の賠償はすでに終わっている。朝鮮半島とは戦争をしていたわけではなかったから、北朝鮮とは戦争による賠償問題は存在しない。露国とも日本は交戦をすべき状態になく、日ソ不可侵条約を一方的に破棄して進攻し、あまつさえ60万人もの日本人をシベリアへ抑留し、不当に使役して10万人近い人たちを死へ追いやった。明確なジュネーブ条約違反であり、賠償すべきは露国の方であるにもかかわらず、鳩山一郎が日ソ交渉の中で請求権を放棄してしまった。


 


 日本はこれ以上のいわれなき名誉の毀損を受け入れるべきではない。日本国政府の弱腰によって保たれる東アジアの平和とは何だろうか。韓国と不仲になって日本にどれほどの不利益があるというのか。言うべきは言い、主張すべきは主張して何が悪いのだろうか。相手の横暴と真実を歪曲した歴史と称する韓国の国内問題には毅然として抗議すべきだ。先人の功績を貶めることこそ歴史に対する冒涜だ。今を生きる日本国民は将来の日本国民に「負」の遺産を残してはならない。戦争による惨禍とは現在の日本の立場そのものだ。


 


 ただ過激な行動は慎むべきだ。国際的に受け容れられない国粋主義や民族主義とは一線を画し、論理的な証拠に基づく冷静な主張でなければならないのはいうまでもない。そして帝国主義全盛期の欧米諸国と肩を並べて独立を守り国益を確保していた日本に誇りを持とう。今の国際社会は戦前の国際社会とは大きく様変わりし、戦前の常識が通用しないのもしっかりと国民に周知しよう。歴史は歴史として現代の国際関係と切り離して考えなければならないのは明らかだ。そのことに拘って自虐的になっているのは日本だけだろう。


 


 インカ文明を破壊したスペインは南米に対して謝罪のしようがないだろう。1000万人ものアフリカ人を奴隷として使役した米国はどのような謝罪をしただろうか。つい先程の戦後までアフリカ西海岸や地中海沿岸に植民地を持っていた欧州諸国はどのようにアフリカ諸国に接しているのか。東南アジアに酷い仕打ちをした欧米諸国はどのような賠償や補償をしたのか、日本政府は調査して学ぶべきだ。そしてこれまでの弱腰外交を廃して言うべきは胸を張って主張しよう。そうしなければ将来の日本国民までも不当に国際社会で貶められ続けるだろう。



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