最初からこうなると分かっていたことだ。

 菅政権が非小沢勢力に担がれた時からこうした結果は予想されていたことだ。時の人気者を起用して支持率を上げようとする姑息な手段は効きが持続しない膏薬をべたべたと貼ったようなものだ。あっという間に支持率は急落し、それに慌てた閣僚や幹事長が一刻も早く選挙へ持ち込もうと強引に国会を閉じてしまった。それで襤褸を出さずに選挙へ雪崩れ込むつもりだったが、政権経験に乏しい首相はいわずもがなの消費税に言及し、慌て者の幹事長は選挙途中にも拘らず与党の選挙敗退を予測して「みんなの党」との連立に言及したりして顰蹙を買った。


 


 安定した政権があればこそ与党議員は何かと官邸を訪れて首相に面会を求めるが、風前の灯となった首相に誰が相談を持ちかけるだろうか。参議院選挙以後、菅首相は何をしているのか、早くも夏休みに入ったかのようだ。


 それに対して小沢氏は野党議員と会ったり仲間の鈴木議員と会ったりしたようだ。先日は八丈島へ魚釣りへ行く素振りを見せてマスコミを煙に巻いたりした。


 


 モノには言いようがある。非小沢勢力に担がれたにせよ、菅氏は小沢氏の立場を慮って「仲間」としての言葉をかけるべきだった。「しばらく静かにしておれ、」とは、いかにも非礼だ。


 第一検審会の決議が出るまで、小沢氏は擁立した候補者の応援に動いていたが、「不起訴不当」の判断が示されると姿を消した。彼のことだから問題の第五検審会の二回目の決議がどのようになるか、大よその動向を探っていたのだろう。そしてここに到って小沢氏が動き出し、第五検審会の決議が九月末まで引き延ばされた。それが何を意味するか、考えなければならない。


 


 小林静雄氏は第五検審会の決議が出るまで、小沢氏は「動くに動けない」状態だと解説した。しかし、そうだろうか。


 検察と密接な関係にある裁判所が公正無私に判断するなら前回決議を作成した検審会委員の半数が残っている間に決議を出すようにするのが順当な考え方だろう。それが残りの半数が任期を終えて辞めるまで引き延ばしたのは「起訴相当」と決議文を書いた委員がいてはまずい事態になると思ったからに他ならないだろう。 


                                   


 つまり第五検審会が一回目の決議を出すために審議した折、裁判所は一回目からつける必要のない補助員(元検事だった弁護士)をつけて「起訴相当」の決議を引き出した。市民目線というが法律の素人が元検事の解説を聞けば「市民の判断」が誘導されるのは想像に難くない。事実、素人の市民にしては奇妙な文言を並べた決議文を書き上げた。そして二回目の検審会の開催に際して、前回就いた弁護士は就くのを拒んだようだ。法的な知識が些少なりともある者なら、法治国家の訴訟法は「法と証拠」に基づくべきであって、摩訶不思議な「市民目線」でなされてはならないことなど承知のことだ。


 


 二回目も誰も知らない市民によって、裁判所の密室で行われる秘密会議で「起訴相当」を決議したとすれば、いかに検察と裁判所が好き勝手にできる状態であっても良心は咎めるだろう。いや、そうした情緒的な話ではなく、実際に強制起訴となって弁護士と検察が攻守を変えて公判をやり合うと、検察の捜査がいかにお粗末なもので根拠となる石川氏などの「犯罪」が、犯罪と呼べない程度のものだと露呈することになる。かえって検察の「犯罪」が国民の目の前に明らかにされる可能性が大きい。


 


 そのため検察はせめてもの嫌がらせに小沢氏の決議を先延ばしにしたに過ぎない。第五検審会の二回目の決議がどのようなものになるか、小沢氏側でも収集した情報からある程度の予測ができたのだろう。小沢氏が動き出した根拠はそこにある、と考えるのが筋だ。


 おそらく小沢氏は与野党の関係者と会って九月の民主党代表選挙以後の政治を安定させるために様々な観点から根回しや下話をしているものと思われる。官邸にもそうした小沢氏の動きは漏れ入っていて、管氏はますますやる気をなくしているのだろう。


 


 政治が混乱して喜ぶのは視聴率が上がり新聞や雑誌が売れるマスコミだけだ。心ある野党議員も民主党は何があっても向こう三年は解散しないのは分かっているから、何とか話し合うルール作りをしようとするものだ。はしゃぎまわって条件設定を積み上げて、自分たちを高く売ろうとするのは賞味期限一年未満のボウフラ政党の面々だけだ。選挙もただではない、公費負担として国民の税を使い国政に空白を作る。今の日本にそうした暇も冗費もない。とことん与野党の大人が集まって話し合うことだ。


 



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