「地元との協議」とは

 非効率なだけでなく今後とも経費をタレ流す公共事業の最たるものが八ッ場ダム建設だ。これまで当初予算の大部分を使い果たし、それでいて本体工事進捗率は0だという。しかも上流は流れに中和剤を注入して中和しなければならないほど酸性が強く、とても飲料には適していないという。その中和してできる固形物を上流のダムで濾した水を流しているという。それを溜めるのが八ッ場ダムだというのだ。


 


 そうした状況を詳らかに水を供給するとしている都県に情報提供をしてきたのだろうか。現在、夏の渇水期になると東京都では節水を呼び掛け、時には断水するというのなら緊急性があるが、八ッ場ダムは計画から半世紀が過ぎようとしている代物だ。つまり現実的にはあってもなくても良い、というものなのだ。それをこれまで大金を投じたから完成まで強行しようとしているに過ぎない。


 


 米国や先進国ではダムを取り除いてかつての川に戻そうとする動きがある。つまり川の水をごっそり堰き止めて人間が使うのは自然に大きな負荷をかけている、とする考えだ。事実、ダムを作ったことにより山のミネナルが海に注がなくなって、海が栄養失調のようになったり、川から山の砂も海へ運ばれなくなって海岸線が痩せているという。


 


 これまで要した八ッ場ダムのすべての経費と、その使途を国民の前に明らかにし、今後必要とされるダム本体工事費と、その完成後の長所と短所をあからさまにして提示してもらいたい。そして今まで八ッ場ダム関係で幾つの外郭団体が作られ、そこに旧建設省も含めて国交省の役人が何人天下ったか、今何人いるのかを明らかにすべきだろう。


 


 今後も東京に人口密集傾向が続くとは思えないし、水も循環型で使うようになって新規水需要は加速度的に低下している。そうした現状を踏まえて、それでも作りかけたダムは最後まで作らなければ気が済まないとする理由は何かを知りたい。


 長い歳月をかけて国が水没予定地区住民に働きかけて地域社会を破壊してきたから最後まで作るべきだとするのは暴論だ。確かに長年住み続けた土地を奪われ地域社会から暮らしの基盤まで破壊した国家権力には腹が立つし無念なのは理解できるが、これ以上自然に負荷をかけるのは止めようではないか。


 


 これからダム本体を造るのと撤退するための経費補償が同じ額だけ必要だとしても、やめるべきだ。ダムはダムだけを作ってもものの役には立たない。理屈ではダムに溜めた水に取水権が生じるのであって、そのためにダムに水を溜めて流すのだという。つまり川の流れを一旦堰き止めて、その水を流しただけ下流で水源として取水して良いということになる。下流で川の水を取水して浄水池から配水池へとダム完成以後も延々と公共工事が続き、官僚にとっては利権の山となるわけだ。


 


 そして水の供給を受けると予定されている人たちに告げなければならない。水質が最悪なのはさておくとして、水道事業などの公企業会計は独立採算制が原則だということだ。土地などを除いて減価償却資産はすべて原価分が水道価格に算入されて給水を受ける人たちが水道料金として負担する仕組みになっている。その分だけ高い水価を支払うわけだ。それでも八ッ場ダム計画を推進するのに賛成だろうか。ちなみに「みんなの党」もダム建設推進派だということを申し添えておく。


 



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