相手により態度を変えるのはどうなのか。
鳩山氏であろうと菅氏であろうと日本の国民と政府を代表する首相であることに変わりない。それにもかかわらず一方は自分の意に染まない発言を繰り返しているから会談を拒否してみたり、一方は合意を受け入れたから最初から話しかけたりする、というのでは米国大統領というものが実に浅薄な存在に見えてしまう。
日常の人間関係でも気に食わない者とは口も利かず、そうでない者には話しかけたり肩を抱いたりする人を、日本では「気分屋」といいあまり上等な人物だとはしない。しかもそうする人の立場が優位にある場合は「いやな奴」だと思うのが普通だ。オバマ大統領は日本国民から「いやな奴」だと思われるのに充分な態度を取ったことになる。
ただ、そうした恫喝のような態度を一々報じるマスコミも、何とも情けない。オバマ大統領が話しかけただとか、隣り合わせの席に座って昼飯を食っただとか、そんなことが国内へ知らせる事柄なのか。それよりも米国発の金融危機やユーロ圏(ギリシア)発の金融危機など、欧米の金融がおかしくなっていることへの議論がどのようになされたのかを逐次知らせるのが重要だろう。特に米国は再び巨額な双子の赤字をタレ流しているではないか。
ドルはすでに世界にどれほど流通しているのか、ドルサプライが基軸通貨として米国が責任を持って管理すべきを中国と日本、とりわけ日本には引受枠まで押しつけて増刷しているではないか。そうした無責任体制ともいえる基軸通貨管理を各国が米国に対して要請するのも国際金融の規制を設ける上では必要ではないだろうか。
オバマ大統領が菅首相に話しかけただとか、抹茶アイス談義をしただとか、そうした配信をするよりも金融問題に対処するG8なのなら、欧州の金融危機はギリシアだけで終息するのか、その保証はどのような金融枠組みをユーロ圏で設定し対処したのかをマスコミは報じるべきだ。ユーロ危機に際しては日本も基金の拠出に加わっている。日本の金融危機の場合は日本の問題として欧米から何の支援もなく、あまつさえ冷笑を買いながら日本一国だけで処理したが。
そうした嫌味の一言でもオバマ大統領に言い返して日本が負担してきた多額な国際通貨安定への拠出に見合った発言権を確保すべきではないか。マスコミもただ随行してはしゃぐのではなく、問題点をしっかりと指摘し、日本の採るべき道の一つなり国民に示すべきではないだろうか。