選挙とは未来を語ることだ。

 参議院選挙が始まり、各党が各様の主張をがなり立てている。その心情は良く分かるが「経済を成長させ」て「福祉を手厚くしたい」という心根も良く分かりますが、それではどのような手法によってどの程度の経済成長をさせるのかが大切な道筋ですが、そこは端折られています。


 財政再建も口で言うは容易いが、すでに自律的再建は困難な段階に入っている巨額な財政赤字をどうやって再建するのかがどの候補者の口からも語られていません。


 


 「手厚い福祉」もどの世代の人たちの手厚い福祉なのか、によって政策は変わってきます。当面の二十年程度を手厚くするのなら厚生年金基金150兆円を取り崩せばなんとかなります。しかし、その後は出生率が現状のままなら壊滅的な状況が訪れます。人口は1億人を割り込み更に減少へと足を速める社会で福祉を支える世代は先細りのままになってしまい、100年後には人口は半数になってしまいます。そうすると現在の制度のすべてが維持できなくなるだけでなく、膨大な公共事業で造られてきた橋や道路の維持すらできなくなり、突如として何処かの橋が崩落したり道路が陥没したりビルが崩壊したりする事態が起こります。全線の多くの部分で高架部分を走っている新幹線も高架の耐用年数を過ぎても架け替えることができない事態が起こるかもしれません。


 


 日本の諸問題の根本は人口減、という現実にあります。団塊の世代は二十数年もたてば消えていなくなり、巨額な老人世帯への負担は一応峠を越えますが、減少することはありません。なぜなら人口は減少し続けているからです。絶えず多くの老人世帯を減少し続ける現役世帯が支える構造が延々と続くのです。それが出生率1.32の現実です。人口の現状維持のためには出生率2.07が必要ですが、そこまで回復するのは絶望的です。


 


 投票率の高い老人世帯の票が欲しいばかりに老人福祉は誰もが言いますし、それも必要なのは言うまでもありませんが、この国の将来を思えばばら撒きであろうと子育て世帯に手厚い支援をしなければとんでもない事態に陥ることになるのです。子供には投票する権利はありませんが、この国の将来を担うのは子供たちです。その数が増えるようにすることが最大にして長期的な景気対策だと、どの候補者も言わないのは不思議です。


 さらに日本が工業・科学立国を今後も目指すのなら給付型の高校や大学の奨学金を充実させることです。後で返せなどとミミッチイことはいわず、将来の日本を担う人材育成の経費だと考えることが必要です。能力のある国民が望むなら誰でも育った家庭の経済格差に関係なく高学歴を身につけられるようにしなければなりません。


 


 確かに人口減少社会では移民を積極的に受け入れるべきとする意見もあります。しかし全人口の一割近くの労働移民を受け入れたドイツが国内に大きな矛盾を抱えるに到っている現状を学ばなければなりません。ドイツ移民の多くはトルコ系で宗教や生活様式も異なり、ドイツの伝統文化と同じように移民とともにもたらされたトルコの伝統文化を尊重するように主張されてドイツ社会に軋轢や戸惑いがあるようです。さらに移民者たちの集まる社会に対して一部ドイツ国民から排除するような動きもあるようです。


 国際交流が進むのは時代の趨勢ですが、日本国民が安心して子を産み育てる環境を地域社会で用意することも必要だと思います。「子どもは親が育てるものだ」といって威張っている老評論家がいますが、彼はこの国の壊滅的な出生率を理解していないのではないかと思います。老人福祉と同じ程度に子育て支援に予算を使えば仏国並みに人口増加へ転じるのではないかと期待しますし、期待できる政策を実施するしかないと思いますが、あなたはどう思いますか。



このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。