官庁会計に企業会計原則の適用を。

 これまで何度もブログで書いたことだが、公会計が単式簿記で原則現金主義で行われている限り、官僚の原価意識なき事業遂行の姿勢は変わらないだろう。各セクションが独立しているかのような会計を持ち、それを特別会計と呼んでいるが、その総額が一般会計を上回るなぞという本末転倒を国民はいつまで許すのだろうか。会計学者は公会計の改革に関してほとんど何も発言しないが、この沈黙は何だろうか。


 


 石川元秘書、現国会議員が逮捕・起訴された罪状は「収支報告書の虚偽記載」だ。これも何度も書いたことだが、4億円足らずの不動産を購入した時期が10月だったにもかかわらず、届け出たのが翌年分の収支報告書で2ヶ月のずれがある、というものだ。それが現職の国会議員を通常国会開会直前に逮捕し、公党の幹事長を執拗に捜査し、ついにはこの程度の嫌疑で関係個所をガサ入れした。それも強制捜査着手前に報道機関に知らせ、テレビカメラなどの構える前を検察捜査員が大挙して踏み込む絵を撮らせて全国に何度も放映させる段取りまでしての上でだ。


 


 石川元秘書の虚偽記載は発生主義の原則が政治資金収支報告書の記載要件として定められていれば、あるいは犯罪事実として問えるかもしれない。「問えるかもしれない」としたのは、不動産売買はどの期日を以て取得とするのか諸説ある事柄だからだ。つまり発生主義で決済金を支払った日に所有権が譲渡されたとするのが一般的だが、第三者対抗要件たる登記の完了を以て取得とする学説もある。いずれにせよ、不動産取得を秘匿したり金銭支払いを秘匿したのではない。記載の日付が2ヶ月ばかりずれたに過ぎない。本来なら記載のない場合でも「しっかり記載してくれ」と注意して済むほどのことだが、日付がずれていたとしても記載した者が逮捕され起訴されるとは驚きだ。それをさも重大犯罪であるかのようにマスコミが繰り返し報じるのも異様だ。そもそも単式簿記に会計基準なぞは碌になく、収支報告書にも記載事例が添付されているに過ぎない。


 


 小沢氏の「嫌疑」に到ってはほとんど話にならない。政治資金収支報告書の何処を読んでも「政治家は内容を把握し、記載事実に責を負うものとする」なぞという条文はない。起訴とすべき根拠法がないのに起訴に持ち込むことは不可能だ。第一、嫌疑不十分としたのは別件で拘留中の水谷建設社長に「小沢氏の件で何かないか」と持ちかけ、社長が「ダム建設で5000万円渡した」としゃべったことから始まった一連の冤罪だ。別件で逮捕している者に小沢氏の件について話せ、とさも司法取引でもあるかのように持ちかけるのは違法行為だ。すべて可視化していれば水谷建設社長からそうした証言を取った検察官が罪に問われるだろう。しかし、小沢氏の関係個所を大挙してガサ入れしてひっくり返したが何も出てこなかった。それを以て嫌疑不十分としたのだ。明らかな日本語の誤使用を検察はしている。「見込み捜査の失敗だった」と小沢氏に非礼を詫びるのが正しいだろう。


 


 公会計に企業会計原則を適用すればこうしたことは防げる。つまり歳入歳出という律令制度以来の単式簿記をやめて、官庁も企業会計の複式簿記を採用することだ。それは煩雑に過ぎて大変だ、というのならトヨタなどの国際規模の大企業の会計がドンブリ勘定でも許すことだ。とんな大企業でも、多国籍企業でも会計原則に基づく複式簿記を行っている。


 会計原則を用いれば「総額主義の原則」により特別会計も国家会計に含まれ、省庁が勝手に使うことはできなくなる。それなら都道府県への補助金や交付金はどう処理するのかという問題が提起されるだろうが、解決は簡単だ。本支店会計の概念を持ち込めばよい。全国都道府県から市町村まで一つの会計システムの中で処理できるほど現代のITは進化している。国民からみれば税を市町村へ支払うのも国へ支払うのも同じことだ。市町村の窓口で支払いコードに「国税」を添付すれば国の会計へ入るようにしておけば無駄が省ける。


 会計原則は発生主義だから、政治資金収支報告書も発生主義で記載しなければならなくなる。不動産取得日を決済金支払日とすると定めれば2ヶ月のずれが生じることもなくなるだろう。そうした定めのない現行法で石川氏を起訴するのには無理がある。


 


 不完全な会計制度のまま国も地方も放置しているのは、その方が官僚にとって便利だからなのだろう。トヨタなどの製造業には工場があって煩雑な原価計算もしなければならない。売り上げに計上するタイミング一つとっても大変だ。工場出荷時点とするものや、船積み時点とするものや仕分けなければならない。本支店会計も実に煩雑だろう。それを思えば官庁の会計を複式簿記にすることなど簡単だ。


 そして会計検査院なぞという年間60億円もかかる官庁は廃することだ。民間の監査法人に監査を委任すれば監査費用は1/10程度で済むはずだ。しかも会計検査院からの「天下り」などによる手心を加えることもなくなる。すべてをオープンにして、誰でも検証可能な状態にすることが改革の第一歩だろう。



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