口蹄疫感染拡大への対応は。

 赤松大臣の対応が遅いとしてまたしてもマスコミが民主党政府を攻撃している。しかし、どうやら口蹄疫感染の端緒となったのは三月三十一日の時点で都農町の畜産農家の水牛が発症していたものを県家畜保健衛生所の獣医師が「普通の風邪」として口蹄疫を疑わなかったのが第一の要因のようだ。その時点で隔離して検体検査する一方で経過観察をしていればこれほど酷いことにはならなかっただろう。県家畜保健衛生所として最低限疑わなければならない最悪の事態に思いが到らなかったのはなぜだろうか。いうまでもなく感染症の拡大予防は初期段階の処置がその後にパンデミックになるか否かの大きなカギを握る。この時点で慎重な対応がなされていればこれほどの大事にはならなかっただろう。畜産農家が水牛の様子がおかしいと県家畜保健衛生所へ通知したのは間違いではなかっただけに保健衛生所の対応が残念だ。


 さらに四月九日に同じ町の牛が発熱と下痢の症状を呈したが、獣医が風邪と判断して「経過観察」とした。そして四月十二日に同じ牛飼育業者の他の牛にも同様の症状が出たことから口蹄疫を疑い、検査結果として口蹄疫と断定された。その間、およそ半月も経過し、当然のことながら水牛飼育農家とそこに出入りした人や車両、さらに往診に行った獣医が広くウィルスをばら撒いた可能性がある。


 


 まず最初の水牛が何処から感染したのか経路が分からないが、その後の感染経路はおよその見当がつくはずだ。そこから防疫対策を取るべきで、政府が対応を怠ったから感染が拡大したのではない。まずは現地の市町村が県に報告を上げて、県の段階で迅速に非常事態を宣言し人とモノの移動を制限すべきだった。現場を知る者の判断こそがまず第一で、中央政府がすべてカバーするのには限度があるし法体系でもそうなっていない。それを大臣の現地入りが遅いと詰るのは的外れも甚だしい。口蹄疫感染の第一報を得てから現地の県知事が何をしていたのかが問われなければならないし、他府県にまたがらない防疫体制の一義的な指揮権と責任は県知事にある、との法の定めを引き合いに出すまでもなく、当事者として宮崎県がどのような対応をしてきたかが問われなければならない。


 いや県知事以上に香港や韓国で口蹄疫がここ半年の間に流行したにもかかわらず、それらしき症状を呈した牛を診察した県家畜保健衛生所の獣医が適切な処置を講じなかったことが一番の問題だ。水牛の診断をした者たちの行動経路がそのまま感染拡大経路になった可能性すらあるのだ。初期段階で事の重大性を想定できなかった人たちの責任は重い。


 


 鳥インフルウィルスで騒動を起こした中に宮崎県はなかっただろうか。記憶に新しい過去に鳥インフルの感染症で県下で防疫などの措置を講じた経験があるにもかかわらず、獣医たちに今回そうした危機感が全くなかったのはなぜだろうか。宮崎県の弛緩した危機感こそが問題とされるべきだ。宮崎県では今日(5/18)になって非常事態宣言をした。すでに宮崎牛として全国的に名高い「安平」までも感染して殺処分された後だ。こともあろうに公的な育養牛の施設をしてもこうした状態なのは問題ではないだろうか。


 何もかも「国が悪い。国の対応が遅い」として責任を擦り付ければ、これから起こると予想される新型インフルエンザの対応も現地の対策が後手後手に回って拡大しても「政府の対応が遅い」と非を鳴らして済まされることになりはしないだろうか。県知事が地方分権とお題目を唱えてマスコミぐるみで叫びつつ、防疫の非常線すら迅速に張れない行政に何ができるというのだろうか。肝心要の部分では政府の対応を問題にして地方自治体が何を学習するのだろうか。


 


 宮崎県庁へ伺った農水大臣を「何をしに来た」と詰った地元選出の自民党国会議員は口蹄疫問題で県庁で何をしていたのだろうか。作業服を着てパフォーマンスを演じれば良いとする程度の議員で何が出来るというのだ。国は国として全国に口蹄疫が広がるのを防がなければならない。県のことはまず一義的に県が対応すべきだ。そうでなければ農水省の出先にまた人が増えることになる。その程度のことも分からないで、県庁へ赴いた大臣を詰るのは論外だ。



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