拝啓、原口総務大臣。悪意あるサボタージュとどう闘うか。

 原口大臣が「来年度公務員新卒採用を半減する」と記者会見でいえば、「それなら刑務所は服役者を釈放するしかない」なぞと法務大臣が記者会見でしゃべり、原口総務大臣が新卒採用半減を撤回した。それにより鳩山内閣の政策決定はどうなっているのか、と国民は内閣への信頼性を低下させる。大臣同士が争って内閣の威信を低下させているように映る。そうした程度の低い争いを展開する大臣も情けないが、その背後でニンマリとする官僚の顔が見えるようで何とも腹立たしい。


 


 いうまでもなく一大臣の発言は内閣の意思として表明されるべきだ。内閣で各大臣と擦り合せた上での記者発表であるべきだ。自民党時代は各省庁から出向している官房がそうした根回しをし、閣議前の次官会議で権威づけしていた。大臣はそうして官僚が作り上げた政策のメモを記者発表で読み上げていた。官僚制内閣といわれた所以だ。


 


 たとえ無能でも官僚制内閣ならば大臣は誰でも勤まる。しかし官僚制内閣を廃して政治家主導で政治を行うとして事務次官会議を廃止すると、官僚は徹底したサボタージュに入ったようだ。それも悪意あるサボタージュだ。原口大臣が新卒採用を半減するとしたのは「官僚の悪しき慣習」の肩叩きをやめて、定年まで勤めてもらい天下りを禁止するためだ。そうすると人事が停滞するため新卒採用を半減する、としたのだ。しかし、人事が停滞するのは定年まで数年を余して天下りするのを禁止するわけだから、大幅な組織改編がなければ数年間だけのことでしかない。


 


 しかも当然のこととして中央官僚のキャリア以外にはそうした悪しき慣習はない。刑務官が定年を待たずして天下りしたとの話を聞かない。それなら新卒採用を半減すると刑務官の定数が満たない刑務所が出てくる場合もあるだろう。しかし受刑者をゲートを開けて刑期満了以前に出てもらう事態にはならない。そうした脅しをするように法務官僚が法務大臣の耳に吹き込み、法務省の権益だけでなく官僚の慣習と権益を守ろうとしたのだろう。易々と官僚に丸め込まれた法務大臣も情けないが、「半減」といったのはすべての官僚ではなく、当然現業職で定年まで勤めて戴いている「普通の職種」についてはこの限りでない、と原口大臣は見解を表明すべきだった。


 


 底意地の悪いサボタージュは普天間基地移設問題でも十分に発揮されている。小沢氏に関してはサボタージュではなく、悪意ある法解釈と検察官僚の暴走だ。そしていずれの場合もマスコミがカギを握る。本来マスコミは選挙によって当落する政治家ではなく、採用されると居座り続ける官僚を監視しなければならないのだが、日常的に記事のネタを提供してもらっている力関係から官僚の広報組織になってしまっている。そして無批判のうちに官僚組織は官庁から外へ広がって権益を膨張させてしまった。今日の天下り団体がすべての省庁に存在する責任の一端はマスコミにあるといっても過言ではない。


 


 鳩山内閣は官僚制内閣をやめるといった瞬間から悪意あるサボタージュとも戦わなければならなかった。その自覚と体制づくりのないまま鳩山内閣は発車し、大臣が自由に発言しては他の大臣から攻撃される異様な状況を呈してしまった。早々と鳩山総理大臣が「一内閣一閣僚」と根拠のない理想をぶち上げ、この面でも改善の余地を閉してしまった。官僚にとってこれほど手玉にとって料理しやすい面々はいないだろう。


 


 それではどうするのか。サボタージュして役に立たない官僚は大臣の伝家の宝刀・人事権を快刀乱麻に振り回してバサバサと更迭するしかない。一時は凄まじい勢いで抵抗するだろうが、彼ら官僚の顔色を窺っても碌なことはないと分かったからには、彼らの意向ではなく内閣が国民のために働ける体制作りのために人事を行い採用年次を無視した人材を登用すべきだ。そして人事の悪しき慣習、採用年次による見事な人事ピラミッドを突き崩すことだ。どこの民間企業でそのようなバブル以前の人事を行っている会社があるだろうか。


 


 原口総務大臣はこれに挫けることなく、人事に手を付けて全体の採用枠の縛りを外さないことだ。馬鹿な閣僚がつまらない理屈をいえば「その通りだ。無能な刑務所長が服役者を勝手に出所させたらあなたの責任だ」と法務大臣に切り返すことだ。政策上手は同時に喧嘩上手でもなければならない。



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