あなたの御祖父さんも、

 日ソ共同宣言を1956年10月に締結したのは鳩山一郎首相だ。いうまでもなく今の鳩山由紀夫首相の御祖父さんだが、当時の冷戦勃発という困難な国際状況といまだ敗戦の痛手から完全回復していない日本の立場では話し合いのテーブルについても発言力に大差があった。日ソ不可侵条約が失効していないにもかかわらず一方的に破棄し、終戦間際のソ連進攻は国際条約違反だ。そのことを交渉のテーブルで強硬に指摘して北方領土の日本への帰属を断固として明文化すべきだった。しかし鳩山一郎首相は北方四島を外して交渉を行い、恨みの残る共同宣言を締結してしまった。その瑕疵がいまだに尾を引いている。


 


 鳩山一郎の孫由紀夫氏は首相になって「海兵隊が抑止力になっている」と学んだというが、米軍の国内駐留に対する理由づけとして言われている理屈に不案内なほど愚かな人なのだろうか。仄聞するところ鳩山由紀夫氏は日米安保条約に精通していて、首相になれば祖父の日ソ共同宣言に負けない業績を米国に対して果たすと意気込んでいたようだ。海兵隊の抑止論なるものの欺瞞性も十分に承知していたはずだが、突如として「海兵隊の抑止力なるものを学んで知った」と間抜けな発言をして「最低でも県外移設」の旗印を引っ込めてしまった。県外移設を断念するまでの間に何があったか、いずれ歴史が明らかにするだろう。


 


 1956年当時の国際的に弱い立場の日本の首相として祖父が歴史に「北方四島」の帰属問題を課題として残す日ソ共同宣言を結んでしまった。以降の日ソ交渉はその条約が原点となり、終戦直前に不可侵条約を一方的に破棄したソ連の不条理はなかったことになってしまった。その孫も政権交代により米国に自民党政権当時とは異なる、とのシグナルを送り「駐留なき安保」の実現に向けて一歩を踏み出すつもりだった。そして鳩山由紀夫氏は現実にシグナルを送ったものの、たちどころに我が国のマスコミも含めた巨大な勢力の総攻撃にあい後退に後退を重ねて自民党政権下の日米合意に押し戻されてしまった。


 


 日本は独立国家なのだろうかと疑うことがある。国際的には1951年のサンフランシスコ平和条約で独立を果たしたことになっているが、米英の強い影響力下の条約締結だったのも史実として検証できる。しかし、それから何年たっただろうか。いまだに米国に鼻面を引き摺り回され第二次世界大戦の残滓を引き摺っている日本は敗戦国家の姿そのものだ。そろそろ堂々と胸を張って主張すべきは主張しても良いのではないだろうか。北朝鮮の悪辣さを真似てはいけないが、そのタフネゴシエーター振りは充分に参考とすべきだろう。「友愛」なるものは出家の世界では尊いかも知れないが、現実の国際社会で大真面目に発言すれば腰抜けと笑われるだけだ。竹島の問題も北方四島の問題も駐留米軍の問題も「友愛」とは無縁な具体的な軍事力のパワーバランスの話だ。鳩山由紀夫氏は形而上学的な世界へ逃げ込むのではなく、ドロドロとした現実世界のパワーゲームの世界で闘い抜かなければならない。それが政治家の使命であり、国家と国民のために果たすべき大きな役割の一つである。



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