橋下新党の快勝がもたらすもの。

 5/23に投開票された大阪市議補選で橋下新党の公認候補が圧倒的な得票率で快勝した。新党結成からわずかに一月、既成政党が参議院選挙の前哨戦として力を入れたにもかかわらず大敗し、ショックをかくせない、と報じられている。


 


 橋下新党は大阪維新の会といって大阪都構想実現を党綱領の一番に掲げている。新党結成の原動力になったのは大阪市長との確執といわれ、大阪府が直接大阪市を支配するには大阪都として大阪市を消滅させ乗っ取ることだとする考えのようだ。ただ、大阪都下に組入れる範囲については必ずしも明確でなく、たびたび橋下知事が明言している関西空港の経営改善を考えるなら堺から泉南あたりまで大阪都として一律の行政区に呑み込むつもりなのかもしれない。


 


 かつて大阪は天下の台所といわれ日本経済の中心だった。明治維新以降江戸に奪われていた政府所在地のみならず経済までも各企業が本店を相次いで東京へ移すに到って経済の盟主としての地位も低下した。そして大阪府のみならず大阪市など府下の各市の悪化した財政状態の立て直しの妙手として橋下知事が打ち出した構想が大阪都構想だ。


 確かに都構想が実現されれば府と市の行政は一元化し二重行政の無駄は排除され、財政基盤も拡大するだろう。ただ実質的に都に組込まれる市が複数ある場合はまず市と市の合併と同じ手続きが必要となるだろう。都下で実施される行政サービスをどの程度とするのか、区に残す行政機能をどの程度とするのか、住民も巻き込んだ困難にして緻密な議論が必要となる。


 さらには将来の道州制移行に際して大阪が近畿圏の中心になるべく先走ったと受け取られないようにする配慮も必要だ。つまり先行すべき議論は道州制であって、大阪都構想は近畿圏の中心として近畿圏の住民から認知されてから後の議論とすべきものではないだろうか。


 


 マスコミは派手な打ち上げ花火は直ちに報じるが、予想されるそこに到るまでの困難な道筋については何も報じない。既存政党の些細な瑕疵は見逃さず得たとばかりあげつらうが、新党の課題について党首に徹底して取材することはないようだ。今回の大阪維新の会の旋風はいつまで続くか安易な憶測はできないが、これまで直接行政を担っていない大阪府が直接行政を行う各市の職員をどのように配置し何処を削減するのか協議が難航するのは明らかだ。行政サービスを何処の水準に合わせるのかも直接住民にかかわるだけに議論が白熱するのも予想される。


 そうした個別的な利害関係の対立する要因については議論を一切しないで、ムードだけで選挙を戦って勝利を収めたわけだ。既存政党は様々な現実政治の責任を問われ、新党は期待感だけで現実的な予想される課題については何ら考慮されないとしたらフェアでないだろう。


 


 そして大阪都構想に関して近畿圏の他の知事たちが沈黙しているのはなぜなのだろうか。将来実現しなければならない道州制を先取りして、近畿圏の盟主だと大阪府知事が宣言しているのに、その議論は後からにしなさい、まずは道州制と地方分権の成案を得る議論の方が先だ、と橋下知事に大人として窘める人がいないのも日本の言論界の不幸な現象だ。



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