ビッグ・データはGAFAMの所有物でも、米国政府が支配するものでもない。全人類の共有財産だ。
<人工知能(AI)研究の第一人者でグーグルの副社長を務めたジェフリー・ヒントン氏が1日、自身のツイッターで同社を退社したことを明らかにした。 ニューヨーク・タイムズのインタビューでは、チャットGPTなど文章や画像を作り出す生成AIについて、「悪意ある人たちに利用されるのを防ぐ手だてが想像できない」と語り、偽情報の拡散が頻発することに警鐘を鳴らしていた。生成AIの実用化を急ぐグーグルとの間で意見の相違があったとも思われる。 ヒントン氏は75歳。1972年、英国エディンバラ大学の大学院生時代からコンピューター上で人間の脳の神経回路を数学的に模倣する「ニューラルネットワーク」の研究を進めた。「AIのゴッドファーザー」とも呼ばれ、この分野では神様みたいな存在。教鞭をとっていたカナダ・トロント大学には、AIを研究したい人が殺到していた。 グーグルはヒントン氏らが起ち上げた会社を買収し、ヒントン氏を副社長とエンジニアリングフェローに据えて、さらにAIを進化させようとした。 現在、マイクロソフトが出資するオープンAIの対話型AI「チャットGPT」が世界的な注目を集める中、ほぼ独占的な検索を持つグーグルの経営陣はかなりの危機感を持っていた。で、それ行けドンドンとばかりに新たな対話型AI「バード」を発表した。 こういった状況に対し、ヒントン氏は「巨大IT企業は歯止めのない競争に巻き込まれてしまった」「AIというのは核兵器よりも危ない」「だからルールを作らなくてはいけない」という考えも示していた。 しかし、グーグルの経営陣のままだと、何か言えば、自社の「バード」の方向性に言及しているのではないかと勘違いされる恐れもあった。で、自由な立場からAIの危険性について発言するようになりたい、ということで退社したわけだ。そういう意味では、私はよかったと思う。 そんな中、米国のジョー・バイデン政権は4日、AIや量子コンピューター、半導体、バイオ、自動運転などの先進技術について、国際規格を主導することを柱にした新たな国家戦略を発表した。AIなどの国際標準規格をまとめる非営利組織などを支援するほか、専門人材の育成にも注力することなどが盛り込まれている。 また、カマラ・ハリス副大統領も同日、グーグルの親会社のアルファベットやマイクロソフト、オープンAIなど4社のCEOと会談し、AIをめぐ