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核兵器を廃絶するのは核軍縮会議ではなく、核兵器を無力化することによって、はじめて実現される。

<岸田文雄政権が今後5年間の防衛費の総額を増額する方針であることについて、中国や立憲民主党が批判している。  中国外務省の毛寧報道官が会見で、「日本は地域情勢の緊張を誇張して軍事力強化を図っており、非常に危険だ」と述べた。「侵略の歴史をまじめに反省し、隣国の懸念を尊重し、軍事、安全保障分野で言行を慎むべきだ」と述べ、日本が専守防衛を維持し続けるのか疑念を呈した。  立憲民主党の泉健太代表は会見で、(防衛費総額の)内容が不明と指摘し、「防衛の強化充実を多くの国民は理解しているが火事場泥棒のように大きく積み増すのは誤りだ。『過ぎたるは及ばざるが如(ごと)し』で、節度をもって防衛予算に向き合うべきだ」と語った。  いずれも看過しがたい批判だ。岸田政権は惑わされずに、日本と地域の平和、国民の生命を守るため、防衛力の抜本的強化へ防衛費増額を決めてもらいたい。  日本の防衛費は今年度当初予算で約5兆4000億円だ。毎年微増させてきた結果、10年前と比べ1・14倍となった。  中国の今年度の国防費は公表分だけでも日本の4倍以上の約24兆6500億円だ。公表国防費は1992年度から30年間で約39倍になった。最近10年間では約2・2倍になった。  国土の広さや接する国の数が異なるため日中の予算が同額である必要はない。そうであっても、異常なペースで軍拡を続け、核・ミサイル戦力を強化してきた中国政府に日本を批判する資格はない。むしろ、日本が隣国中国に抱く懸念を理解しなければならない。  そもそも日本の防衛費増額は、抑止力向上が目的だ。反撃能力の保有にしても、昭和31年の政府見解の提示以降、専守防衛の範囲内だと位置づけられてきた。  泉氏の発言は批判のための批判の側面がある。5年間で43兆円の防衛費総額は防衛省が積み上げ方式で検討した防衛力を実現するものだ。現時点で細目の正式公表はなされていないが、月内決定の防衛力整備計画などで示される。  それを来年の通常国会などで論じることになるのに「火事場泥棒」と難ずるのは不適切である。43兆円が多すぎるというなら、日本を取り巻く厳しい安全保障環境を理解していないと言わざるを得ず、極めて残念だ>(以上「産経新聞」より引用)  復興増税約4000億円の半分の2000億円を防衛費に回す、という。まだ福一原発からデブリの1gとして取り出せてないにも拘らず

プーチンの戦争が契機となって、COP27は様変わりした。

< <環境活動家・グレタ氏への注目度が下がったのは、われわれ市民やメディアが彼女を「新世代の旗手」として都合の良く使っていたことの証だ>   11 月上旬からエジプトで開かれていた国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議  (COP27)が、先日閉幕した。気候変動で生じた被害を支援するため、途上国を対象にした新しい基金を創設すると決まったことが大きく報じられた。各国が協調して、国連の枠組みで被害への資金支援に取り組むのは初めてというのがニュースのポイントだ。  気候変動問題といえば、日本でもおなじみのスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリ氏は「見せかけの温暖化対策」であると会議を批判し、参加を見送った。今やおなじみとなった彼女の「グリーンウォッシュ」論である。  トゥーンベリ氏が日本において最も注目を集めたのは、2019~20年にかけてのことだった。彼女は18年夏から地球温暖化の危機を訴え、たった一人で授業をボイコットする「学校ストライキ」に打って出た。学校に通うよりも地球の未来のほうが大切であるという主張は、確かに分かりやすい。  運動はやがて細々とではあったが日本にも広がり、新世代の旗手として彼女の言動は大いにスポットライトを浴びた。さらに共感を呼んだのは、スピーチのスタイルにもあった。彼女は「あなたたち」旧世代と、「私たち」新しい世代を分けて、温暖化を進めた旧世代は新世代の未来を奪っていると苛烈な口調で訴えた。  「あなたたち」と「私たち」を二分し、一方を敵とする手法にポピュリストの手口とも通底する危うさがあることは目に見えていた。だが、そんな懸念よりもメディア上で広がったのは「若い世代が訴えた」「日本の若者もグレタさんに続け」という「物語」だった。日本でも彼女の声に呼応した若者たちが出てきたことで、注目はさらに高まっていった。  彼女のようなスターの存在と、分かりやすい敵/味方の二項対立はSNSでは受け入れられやすい。若者たちが声を上げるという構図も日本のメディアでは好まれやすい。だが、持ち上げるだけ持ち上げて、都合が悪い主張をすると途端に無視する無責任な姿勢は肯定できない。 美しい「革命」より政治の知恵  本誌および本誌ウェブ版でロンドンから発信を続けているジャーナリスト・木村正人氏のリポート、そして紹介されているスピーチ動画を見ると、最近の彼女の

子供から公園を取り上げてはならない。

<苦情をきっかけに来年3月で閉鎖が決まっている長野市の青木島遊園地について、市議会でも取り上げられました。荻原市長は「苦しい判断だが手続きを進める」と話しました。   長野市青木島町大塚にある青木島遊園地は、「子どもの声がうるさい」などの近隣住民からの苦情がきっかけで廃止が決まりました。 この問題について、1軒の声が反映されたとしてSNSなどを中心に議論が巻き起こっています。 廃止について異議を訴えてきた小泉一真市議が質問に立ちました。  ■小泉一真・市議 「青木島遊園地を廃止することに断固反対します。公園を廃止するのは客観したデータで論じるべきであって、(記録がないのは市の)怠慢があったと言わざるを得ません」 小泉市議は公園の廃止ありきで話し合いが進められてきたと訴えました。 荻原市長は18年間の長きにわたり対応してきた結果だと説明しました。  ■荻原健司市長 「地域の皆様が話し合いの結果ですね、そしてまた地元から廃止の要望が出されたことに対しまして私としても非常に苦しい判断ではりましたけど、手続きを進めさせていただきたいと思います」 また、苦情を寄せた近隣住民が取材に答えました。  ■苦情を寄せた住民の話 「クレームを言い続けてきたわけでは無く、提案や要望を市や児童館にしてきて、廃止してほしいとは言っていない。普通に遊ぶことについては一切苦情は言っていない。地域に公園があれば良いということは良く分かるが、騒音が毎日続くことは立場にならないとわからない」 市にはきのうまでに、電話やメールで350件を超える意見が寄せられています。 市は遊園地の代わりに近隣の小学校の校庭を使う方針です>(以上「長野放送」より引用)  長野市の公園廃止が一悶着起こしている。公園とはそもそも子供たちが安全に遊べる広場を公が提供している場所だ。小規模な「児童遊園」から大規模な「都市計画公園」まで、形態は様々だが、概ね子供たちが遊ぶ広場だから騒々しいのは当たり前だ。  しかし子供たちの歓声などを「騒音」だとして、近接住民が「公園廃止」を申立て、行政がそれを聞き入れた、というのは由々しき問題だ。なぜなら公の場所で騒々しい所は全国にゴマンとあるからだ。  「公園で遊ぶ子供たちの声が騒々しい」というクレームを行政が聞き入れた、というのは実は大問題だ。なぜなら公の場で大勢の人が集まる施設は全国に無数

崩壊する中国経済。

<中国税関総署が7日発表した11月の貿易統計は、輸出入ともに市場の予想以上の落ち込みとなった。国内外の軟調な需要や新型コロナウイルスによる国内の生産混乱、不動産部門の低迷などが経済の重しとなっている。  輸出は前年比8.7%減と、マイナス幅が10月の0.3%から拡大し、2020年2月以来の大きさとなった。  新型コロナ関連規制が響いて輸入も同10.6%減少し、20年5月以来の大幅な落ち込みとなった。10月は0.7%減だった。  ロイター調査がまとめたアナリストの予想は輸出が3.5%減、輸入が6.0%減だった。  11月の貿易収支は698億4000万ドルの黒字で、黒字額は上海でロックダウン(都市封鎖)が敷かれていた今年4月以来の低水準となった。アナリスト予想は781億ドルの黒字、10月は851億5000万ドルの黒字だった。  多くの国で金利が上昇し、ウクライナ危機によって世界景気後退のリスクが高まる中、中国の輸出は今年8月以降、失速してきた。11月に国内各地で新型コロナが拡大し、製造業の中心地である鄭州や広州など多くの都市が規制を強化したことも輸出に打撃を及ぼした。  キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、ジュリアン・エバンスプリチャード氏は、輸出の減少が向こう数四半期続く可能性が高いと指摘する。 「コロナ規制緩和が輸出を押し上げる効果は限定的だ。こうした規制はもはや、製造業者が注文を満たす上で主要な障害ではない」とし、「パンデミック(世界的大流行)時の需要の反転や今後予想される世界景気後退により、中国製品に対する海外需要が落ち込むことの方がはるかに大きく影響してくる」と述べた。  上海航運交易所によると、中国の港から欧州に向かう貨物の運賃は11月に前月比21.2%下落、米西海岸向けは21.0%下落。外需悪化を背景とした輸出の低迷を浮き彫りにした。  中国政府はここ数カ月、銀行の預金準備率引き下げや不動産部門支援に向けた資金調達規制の緩和など一連の措置を打ち出している。だが、新型コロナ抑制策からの全面的な経済再開はまだ発表しておらず、アナリストは一連の措置が早期に効果を生むか懐疑的だ。  一部の地方当局は封鎖措置や隔離規則、検査義務などを緩和し始めている。  エバンスプリチャード氏は「ゼロコロナ政策の転換や不動産部門への支援強化はいずれ国内景気回復をけん引する

SNS上に飛び交う飛語流言にも表現の自由があるが、もちろん責任は伴う。

<新型コロナワクチン接種後の後遺症でがんの進行が加速するという科学的根拠のない〝症状〟を指した「ターボ癌(がん)」という造語が交流サイト(SNS)のツイッターで拡散され、物議を醸している。ワクチンの副作用で娘がターボ癌にかかったとしてツイッターで寄付を募る投稿が批判を集めてアカウントを削除する騒動があり、8日には、「ターボ癌」がトレンド入りした。 過去には「自衛隊員400人死亡」のデマも  新型コロナワクチンをめぐっては、10月に「400人の自衛隊員が接種後に死亡した」という誤情報が拡散されたこともあった。  厚生労働省は、コロナワクチンの情報について、「科学的根拠や信頼できる情報源に基づいていない不正確なものがあり、注意が必要」と呼びかけており、ホームページで「新型コロナワクチンQ&A」として、「ワクチン接種で不妊になるというのは本当か」「ワクチン接種で心筋炎や心膜炎になる人がいるというのは本当か」といった質問に答えている。 ツイッター社は投稿規制廃止  東京感染症対策センター後遺症タスクフォース座長で東北大学大学院の小坂健教授は、ターボ癌について、「そういった研究は報告されておらず、事実ではないと思われる」としたうえで、「100%ないというのは研究されていなければ難しい」とし、コロナワクチンに関する検証や研究がまだ十分ではない中で、「真実なのか、デマなのかというのは、すぐ判別できないこともある」と話す。そして、SNSなどでは、自分と違う意見に触れる機会が減る傾向があることから、「いろんな専門家の話を聞き、科学的根拠に基づく情報を探すことが大切」と訴える。  米ツイッター社は、2020年から新型コロナに関する誤情報の拡散を防ぐための取り組みを強化し、削除要請に従わない場合はアカウントを凍結するなどの対策を行ってきたが、10月31日に投稿規制に消極的なイーロン・マスク氏がCEO(最高経営責任者)に就任。同社は、英語版の新型コロナに関する情報のページで、11月23日から誤解を招く投稿規制を取りやめたと説明しており、懸念の声も上がっている。 「透明性確保を」  WHO(世界保健機関)が「コロナは、『エピデミック(病気の流行)』と『インフォデミック(デマを含む大量の情報が氾濫して社会に影響を及ぼす現象)』との闘い」と発信しているように、パンデミック(世界的大流行)で医学的

国民は負担増に耐えられない。増税や値上げは、もう沢山だ。

<岸田文雄首相は、防衛力を抜本的に強化・維持するため、2027年度以降の毎年度約4兆円の追加財源が必要だと述べ、このうち1兆円強を増税で賄う方針を表明した。  憲法に抵触しかねない敵基地攻撃能力の保有を前提に、国民に負担を強いる増税に踏み込む姿勢は極めて拙速である。肝心の「防衛力の抜本的強化」の中身を国民に示さないまま、予算規模ありきで事を進める手法は問題だ。  物価高で国民があえいでいる中、一体何のために防衛費の増額が必要なのか。説明を尽くしたとは言えない。  首相は政府、与党が8日開いた政策懇談会に出席。防衛費を23年度から段階的に増やし、27年度まで5年間で総額約43兆円を確保することと合わせ、財源確保の考え方を示した。  財源は増税、歳出改革、決算剰余金、新たに創設する「防衛力強化資金」の四つの手法で捻出する。23年度から、まずは増税以外による財源確保を先行させ、27年度以降はこれらで毎年度3兆円程度を賄う。不足する分を増税で補い、27年度以降は1兆円強となる。  1兆円強の増税は、法人税を軸に調整が進む見通しだが、増税対象などを巡り曲折が予想される。1兆円あれば児童手当の高校までの延長が可能になる。小中学校の給食無償化も可能だ。  歳出改革とは防衛費以外の経費を削ることを意味し、国民生活に影響を与えかねない。  決算剰余金は国の一般会計の余りで、毎年1兆円ほど発生する。半分は国債償還に充てることが法律で規定され、もう半分は補正予算の財源に充てている。防衛費に使われれば赤字国債(借金)の発行が増えることになりかねない。国と地方の長期債務残高は2022年度末に1247兆円に達すると見込まれ、主要先進国の中でも最悪の水準にある。これ以上の借金は将来世代につけを回す。  新設する防衛力強化資金は、特別会計で生じる剰余金や国有資産の売却収入を活用する。このうち「外国為替資金特別会計(外為特会)」の剰余金は、これまで7割を目安に一般会見に繰り入れて赤字財政を補ってきた。国債発行の抑制を支える財源を防衛費に転用すれば、赤字財政の改善は見込めない。  つまり、決算剰余金や特別会計の剰余金は不安定な財源であり、長期的な安定財源確保にはほど遠い。  そもそも「防衛力の抜本的強化」の中身が不透明だ。防衛省が対外的に説明しているのはスタンド・オフ・ミサイルの研究開発、総合ミサイル

プーチンよ、一日も早く亡命せよ。

< ウクライナが仕掛けたと繰り返すプーチン  ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は12月7日、ウクライナ侵攻について「戦争はわれわれが火ぶたを切ったのではなく、2014年にウクライナで権力を握った(親欧米派)政権が開始した」と主張した。  プーチン氏は、親ロシアのヴィクトル・ヤヌコビッチ政権が倒れた8年前のウクライナ政変を、欧米による旧ソ連圏での「カラー革命」*1と見なしている。 *1=カラー革命(Color Revolution)とは、2000年頃から旧ソ連の共和国や中東諸国において、独裁や腐敗の横行する政権の交代を求めて起こった民主化運動の総称。色や花の名を冠したものが多いことから生まれた呼称で、「色の革命」「花の革命」とも呼ばれる。キーウ(キエフ)のマイダン広場の集会デモが発端となったことから「マイダン革命」とも呼ばれている。ヤヌコビッチ氏は国外に逃亡し、ロシアに亡命した。  2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、北大西洋条約機構(NATO)による東方拡大を阻止する「自衛戦争」だとする持論を侵攻10カ月後のこの段階で改めて強調したのだ。  戦況はどうなっているのか。  英米情報機関による軍事情報に基づいた分析では、欧米から得た武器弾薬を供与されたウクライナの激しい抵抗を受けてロシア軍は苦戦しているようだ。  プーチン氏自身、この侵攻作戦を「特別軍事作戦」と位置付け、目的達成までの道のりは長いという認識を示している。  そうした中で、プーチン氏は侵攻初段階から侵攻作戦が失敗する可能性も考え、その時は国外に逃亡することも視野に入れていた、との情報が飛び出した。 ロシア通デイリー・ビースト敏腕記者が特報  すっぱ抜いたのは、米ニュースサイト「デイリー・ビースト」のアリソン・クイン氏。これまでプーチン政権内の内部情報を暴露してきた女性敏腕記者だ。 (同時内容の記事は、ニューズウィークも前後して報じているが、デイリー・ビーストに比べると詳細さに欠けている)  以下、同氏の記事内容だ。 一、プーチン氏のスピーチライターだったアバス・ガリヤモフ氏(現在イスラエル在住)がテレグラム・チャンネル*2に、「プーチン氏は春頃から、国外に脱出する計画を立てていた。これは非公式に<ノアの箱舟>(Noah’s Ark)計画と名付けられていた」と語った。 二、プーチ

「CO2地球温暖化」教徒は人類破滅への道を歩むのか。

< EUの車が全てEVになったら  今年10月、フランスで、『電気自動車:皆が夢中になった!』(Voiture électrique : ils sont devenus fous! 直訳なら「皆、気が狂ってしまった!」)というタイトルの本が出た。  著者はジャーナリスト兼作家のフランソワ-クサヴィエ・ピエトリ氏で、中身は、世の中の車が全て電気自動車に置き換わった場合の社会的、経済的、環境的コストについての考察だ。  EUは最近、2035年からガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車など、温暖化効果ガスを排出する車の新規登録を禁止するということを決めたばかりなので、タイムリーな本だ。  ただし、ピエトリ氏の結論は、「我々はまだ電気自動車一本のための準備ができていない」。  同書は独訳が出ていないが、11月2日、著者ピエトリ氏のインタビュー記事が「Die Welt」紙に載った。フランスの「Le Figaro」紙からの転載・独訳だが、興味深かったので、今回はその一部を紹介したい。 自動車メーカーの雇用も激減する  全てを電気自動車にシフトしようとする試みは、社会全体に劇的な結果をもたらす。フランスの自動車メーカーが受ける衝撃は甚大で、大企業の場合はどうにか適応できるかもしれないが、そこにぶら下がっている部品メーカーなど下請けは生き延びることができない。  電気自動車シフトがすでに進み始めている現在、整備工場の売上はすでに徐々に落ちている。電気自動車を扱うためには、そのための整備士や設備投資が必要だが、コストに比べて、もたらす売上が少な過ぎるので、切り替えがなかなか進まない。  また、電気自動車は従来の自動車の半分以下の部品で作れる上、それほど複雑な工程も必要ないため、メーカー自体もいずれ雇用が激減していく。  利用者の利便に大きく関わる充電スタンドは、その設置が遅れている。フランス政府は21年までに充電スタンドを10万ヵ所作る予定だったが、現在はまだ7万ヵ所(ドイツは30年までに100万という目標を立てたが、現在7万ヵ所弱)。特に、急速充電スタンドは認可に時間が掛かり過ぎ、電気自動車の増えるスピードに追いついていない。  充電スタンドの不足は、夜間に家で充電して通勤する分には大した問題ではないが、長距離移動では地獄となる。現在、電気自動車の走行距離は、満タンのガソリン車

稼働していなくても原子炉は激しく劣化している。

<政府が年内の取りまとめを目指す原発の運転期間について、なし崩しで延長に踏み切ろうとしている。政府は現行の運転期間「原則40年、最長60年」を堅持する方針だが、再稼働に必要な審査などで停止した期間を追加。実質的に60年超の運転期間をもくろんでいる。  6日の参院環境委員会で、立憲民主党の辻元清美議員が延長問題を追及。過去の環境相の国会答弁や福島第1原発の設置変更申請などを引き合いに出しながら、「(原子炉の)想定年数は40年」と指摘した。  政府方針では最長60年に加え、停止期間が運転期間に上乗せされる。原子力規制委員会は、運転期間から停止期間を除外できないとの立場を貫いているが、延長の可否については環境委でも、「利用政策側が判断されることと考えている」(山中委員長)と繰り返し強調。“高い独立性”をうたっているはずなのに、運転期間をめぐっては政府に及び腰だ。  原子力利用に目を光らせるべき立場の規制委がこんな調子だから、原発政策の旗振り役である経産省は「さまざまな意見があり、審議会で科学的な見地で議論を進めている」(中谷副大臣)などとノラリクラリ。規制委の立場を「さまざまな意見」のひとつに過ぎないとみなしている。 ■「技術者の視点」が抜け落ちた議論  世界に目を向けると、「停止期間+60年」の運転期間は異様だ。IAEAによると、21年12月末までに世界で廃止予定の原発は199基。平均寿命は29年だ。現在稼働する原発の中でも最長は、1969年に運転を始めたスイスのベツナウ原発1号機の53年間である。  元原子力プラント設計技術者の後藤政志氏(工学博士)はこう言う。 「運転期間延長の議論には、技術者の視点が抜け落ちています。現存の原発の設計寿命は30~40年。設計段階で想定した寿命があるにもかかわらず、『点検したら大丈夫』というのはあまりに乱暴です。特別点検を実施するにしても、見落としやエラーはつきものですし、あらゆる重大事故の多くは欠陥の見落としが原因です。点検をしていても電気系統や制御装置は、いつ劣化して故障するか予見できません。設計寿命は極めて大事なのです」  のど元過ぎれば何とやらである。原発事故の惨事を再び繰り返すつもりなのか>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)  原発の耐用年数延長を岸田自公政権は目論んでいる。その理由が稼働していない期間を40年プラス20年プ

成年後見人を食い物にする悪徳弁護士たち。

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< 急増する弁護士や司法書士の成年後見人。高齢者本人のための財産管理になっているだろうか。自らの利益追求のために、社会から孤立した高齢者を狙う悪質な後見人がいる。  今年4月、千葉県に住むAさん(60代女性)の自宅に一通の封書が届いた。そこには、90代の父親に「成年後見制度を適用する」と書かれている。送り主は父親が住む都内の自治体の役所。一人暮らしの父親に認知症の症状が出ているため、見ず知らずの弁護士後見人をつけるという。  何が起きているのか理解できなかった。新型コロナウイルスの感染が広がり、父親と会えない日が続いていたが、まさかそんな状況だとは思ってもいなかった。  後見人は、認知症などで判断能力が低下した人に代わり、日常生活に必要な銀行口座からのお金の引き出しや不動産などの財産の管理などを行う。それが近年では、後見人が勝手に本人所有の不動産を売却して現金化したり、銀行口座にあるお金を横領したりする事件が多発している。Aさんは言う。 「居場所は教えられません」の一点張り  「父親と話をしたくて電話をかけたが通じない。自宅にもいませんでした。都内には父が所有するマンションが2部屋ありましたが、それがどうなったかもわかりませんでした」  封書を発送した役所の担当者に尋ねても「お父様の居場所は教えられません」の一点張り。後見人候補者になるという弁護士の名前も教えてもらえなかった。  こうなれば自分で捜すしかない。自治体のエリア内にある高齢者施設と片っ端から連絡を取った。父親とAさんが再会できたのは、今年9月だ。埼玉県内の精神科病院に入院させられていた。すぐに退院させると、父親は「おいしいものが食べたいな」と言った。現在、父親は住民票を千葉県に移し、Aさん夫婦と一緒に暮らしている。  私が代表を務める一般社団法人後見の杜には、このようなトラブルの相談が後を絶たない。  もともと、成年後見制度は介護保険制度と一緒に2000年4月にスタートした。現在、日本の認知症患者は600万人を超え、2025年には約700万人に増えるといわれている。判断能力が低下した高齢者は、社会から孤立化しやすい。そういった人たちの生活を手助けするのが成年後見制度だが、成年後見を受けている人の数は約24万人にとどまっている。  2016年には、弁護士や司法書士らの業界団体の強い要望を受け、政府は成年後