福井県の敦賀原発2号炉直下に活断層の存在が疑われ、地質学者による認定がなされ、再稼動が危ぶまれる事態になるや、電力会社は「廃炉による巨額な費用を消費者の電気料金に転嫁せざるを得ないか」と電力会社は述べたという。 原発は「安全にして安価」な発電装置だと宣伝していた連中はどのように弁明するのだろうか。原発が「安全にして安価」な発電装置でないと知れ渡った今も、原発を停止すると電気料金を上げざるを得ない、とマスメディアは国債相場の5,6倍もの価格でLNGを購入している実態には一切触れずに国民を脅している。 既に「安全」でもなければ「安価」でもない発電装置は廃炉に建設費用の数十倍では効かないほどの巨額経費と厳重な放射性廃棄物管理が必要になることが判明している。その発電のツケを国民に回して恥じない経営者とは一体なんだろうか。 それとも原発は国策で、電力各社は国策に従ったまでだというのなら、国の決定に素直に従い、地域独占を法本来の「独占禁止法」に従って解体すべきだ。原子炉の廃棄費用の一部でも電力会社のすべての資産を売却して充当すべきが筋ではないだろうか。 この国の農業は戦後の食糧増産の要請に従って耕作地を拡大し、生産効率を上げてきた。いわば国策に則って農業を実施してきて、減反を言い渡され食管会計の崩壊・自由化を命じられてきた。しかし国に全量を買い取れと農家は言っていない。自助努力で農機具を購入し兼業農家で人手不足を乗り切り、営々と圃場を荒らさないように励んできた。 そうした人たちと比べて、電力各社の経営者たちは一体なんだろうか。地域独占で競争原理が働かず、世界の電力相場と比較して2ないし3倍もの電気料金を国民に課してヌクヌクとしてきた。学者も官僚もマスメディアも巻き込んだ利権構造を構築して、アルミ精錬事業など電力多消費型産業がこの国で成り立たなくなっても素知らぬ顔をして来た。 そして「脱原発」勢力を削ぐ最終兵器とでもいうべき「廃炉費用負担による電気料金の値上げ」を突きつけてきた。バカもここに極まったとしか言いようがない。トータルコストを隠して「安価な発電装置」だと言っていたのは紛れもない詐欺行為だ。それが発電事業の原価算定方式なのだ、と居直るのは詐欺師の常套手段だ。少しは恥を知って、電力会社を解体して完全自由化に自ら踏み切るべきだ。