米国産米と対抗できる国内産米価格を実現するための農政へと大転換すべきだ。

<4月7日、農水省は3月30日までにスーパーで販売されたコメの平均価格が5キロあたり4206円と発表。13週連続の値上がりとなったが、そんな中、農水省の「コメ担当」が4月8日放送のTBS系情報番組「ひるおび」にVTR出演し、視聴者から大不評をかっているようだ。

 番組では「農水省コメ担当に聞く オススメごはんの美味しい食べ方&グッズ」と題してVTRをオンエア。農水省の農産局穀物課の職員が登場し、「フライパン炊飯でも美味しく炊くことができます」と炊飯法をレクチャーしたとのこと。まずは水に30分間浸した白米をフライパンで沸騰するまで強火にかける。温度が均一になるように、沸騰するまで木べらで混ぜるのがポイントで、沸騰したら弱火にし、フタをして約10分待つ。
 農水省のコメ担当はフライパンを前に、「一粒一粒がふわっとしたお米が炊ける」と述べ、「お米と向き合う時間が持てるので、その分より食べた時に美味しく感じるかなと思っています」と続けたといい、約10分間、“米と向き合う時間”が経ったら最後に1分間、強火にして完成。ふっくらと炊きあがった上に、フライパンの底には香ばしそうなおこげができていたが…。
 ネット上では《よくのこのことテレビに出れたね》《それ当然備蓄米だよね?》《米と向き合うべきなのは農水省だろ》《高い米を食ってりゃ美味く感じるよ》といった声が寄せられていたという。
「農水省職員の方はVTRの冒頭で、深々と頭を下げていましたが、コメの価格高騰にはいっさい触れませんでした。今回のコメ不足と価格高騰を招いた要因は政府と農水省がすすめてきた減反政策。表向きは18年に廃止されましたが、以降、転作に協力する農家に補助金を出してきました。3月末には全国の農家が都心に集まり、“令和の百姓一揆”と銘打って大規模なデモを行ったばかり。そんな中で美味しい炊飯法をレクチャーされたことに、違和感を覚えた視聴者は少なくなかったようです」(メディア誌ライター)
 政府や農水省には農業政策とじっくり向き合ってほしいものだと「アサ芸ビズ」が報じている>(以上「gooニュース」より引用)




 こんな見出しがあった。「『ひるおび』に出演、大不評「よくのこのことテレビに出れたね」」というものだ。何のことかと読んでみたら、農水省の「コメ担当」が出演してクッキンキグコーナーよろしく「美味しいご飯の炊き方」をレクチャーしたという。これでは何のために「コメ担当」が出演したのか意味不明だ。
 農水省官僚は現行の農政が転換点にあることを理解してないのだろうか。食糧品で高騰したのはコメだけではない。野菜や果物も軒並み高騰した。結果として一人前のカレーライスを作るのに必要な費用を見ると、2024年2月は319円だったものが今年2月では402円になり26%も高騰している。その実感が農水省の官僚たち全員にないとしたら欠陥省だと云わざるを得ない。

 トランプ関税の協議に石破内閣は特使を米国へ派遣したが、もちろん米国は日本の米国産米に欠けている204.3%もの関税を問題にするだろう。しかし実際は約400%もの関税をかけていることから、トランプ政権はコメの完全自由化を求めて、日本の関税政策を攻撃して来るのは間違いない。
 この場合、従来は定量的な輸入で「勘弁」してもらっていたが、もはやそうした生ぬるい妥協策でトランプ側が手を打つとは思えない。5kgが650円という米国産米と現在の店頭価格5kgが4,000円を超えている販売価格では乖離があり過ぎて国内産米に対処のしようがない。しかも米国産米の基本遺伝子はコシヒカリだから始末に悪い。見た目と触感において国内産米と遜色ないから米国は強気で交渉して来るだろう。

 農水官僚はテレビ出演して「美味しいご飯の炊き方」をレクチャーしている暇などないはずだ。現在、農水省は向こう10年の農業政策を策定する、と称して全国の農家からコメ生産目標や経営状態などをペーパーで提出させている。しかし今後の農政そのもののあり方を大きく転換させざるを得ない事態に到っている、という認識を全国の農家は実感として肌に感じている。そうした農家の認識と農水省の現状認識の乖離は埋め難いものになっている。
 そして農政の実行組織としてのJAがかつてなかったほど農家から信用を失っている。農家の多くは「安い清算金」にウンザリし、卸業者と直接売買しようとネット配信などで活路を自ら開く道を模索している。つまり農水省のガバナンスが次第に効かなくなっていることを認識すべきだ。

 これまで米作農家だけでなく、酪農家に対しても、農水省は余りに無策であり過ぎた。国民の食糧安全保障という言葉だけが独り歩きして、実際には減反政策や転作を奨励してきた。酪農家に対しても実に非情な「ノー政」と牛乳生産制限を展開してきた。それらは日本の食糧安全保障といかなる関係があるというのか、農水省官僚は説明すべきだ。
 これからは農業に関しては所得補償制度を導入して、安価で安定した食糧安全保障政策に転換しなければならない。つまり仏国並みに「農業は公共事業だ」と国民に認識させ、仏国農業者の所得の95%が補助金、というレベルまで農業者の所得補償制度に農政を転換しなければならない。その上で、安価な農産品価格を維持して、米国産米と市場で対等に勝負できるようにすべきだ。

 日本の政治家の大半が能天気な世襲議員ばかりだから、まず農水官僚がしっかりと日本の食糧安全保障の道筋を示さなければならない。「コメ不足」を隠して米価高騰の責任を転売ヤーや中間卸になすりつけようとする愚かな行為は止めるべきだ。
 まず「コメ不足」を認めて、国内産米の増産に踏み切り、米国産米の輸入をいかにして阻止するか、に全力を注ぐべきだ。だが基本的に関税は0%があるべき姿だから、米国産米と対抗できる国内産米価格を実現するための農政へと大転換すべきだ。

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