米国民に対するトランプ関税の功罪のいずれが上回るのか。
<BofAグローバル・リサーチが15日明らかにした月例のファンドマネジャー調査によると、2月以降の米国株の売却ペースが過去最高となった。
記録的な数のファンドマネジャーが米国株への配分を引き下げる方針を示しており、今後もこうした傾向が続く可能性が高い。
月例調査では米国株はネットで36%のアンダーウエート。過去2年近くで最大のアンダーウエートとなった。2月以降、53%ポイント低下しており、低下幅は過去最大。大多数のファンドマネジャーが市場の最大のリスクとして、世界的な景気後退を引き起こす貿易戦争を挙げた。
調査はファンドマネジャー164人(運用資産総額3860億ドル)を対象に実施した。
世界的な景気後退を予想したファンドマネジャーはネットで42%。2023年6月以降で最も多く、過去20年間で4番目に高い水準だった。また73%が「米国例外主義」というテーマがピークを過ぎたと回答。49%が「金のロング」に最も取引が集中していると答えた。これまでは24カ月連続で米大手ハイテク株との回答が寄せられていた>(以上「REUTERS」より引用)
トランプ関税が米国に景気後退をもたらす、との判断を多くの投資家たちはしているようだ。「ファンドマネジャー、記録的なペースで米国株売却=BofA」との見出しが、そうした米国の景気の先行きを暗示している。
記録的な数のファンドマネジャーが米国株への配分を引き下げる方針を示しており、今後もこうした傾向が続く可能性が高い。
月例調査では米国株はネットで36%のアンダーウエート。過去2年近くで最大のアンダーウエートとなった。2月以降、53%ポイント低下しており、低下幅は過去最大。大多数のファンドマネジャーが市場の最大のリスクとして、世界的な景気後退を引き起こす貿易戦争を挙げた。
調査はファンドマネジャー164人(運用資産総額3860億ドル)を対象に実施した。
世界的な景気後退を予想したファンドマネジャーはネットで42%。2023年6月以降で最も多く、過去20年間で4番目に高い水準だった。また73%が「米国例外主義」というテーマがピークを過ぎたと回答。49%が「金のロング」に最も取引が集中していると答えた。これまでは24カ月連続で米大手ハイテク株との回答が寄せられていた>(以上「REUTERS」より引用)
トランプ関税が米国に景気後退をもたらす、との判断を多くの投資家たちはしているようだ。「ファンドマネジャー、記録的なペースで米国株売却=BofA」との見出しが、そうした米国の景気の先行きを暗示している。
トランプ氏はトランプ関税によって米国に投資と企業移転がもたらされる、と目論んでいるが、実際には高関税により米国内輸入価格高騰によるコストプッシュ・インフレが起きて、沈静化していた消費者物価インフレが再び再燃するのではないかと危惧している。
現在、トランプ関税は中国を除いて、90日間の実施延期を宣言している。トランプ氏はその間にディールすることを呼び掛け、昨日日本の政府特使が米国へ赴きトランプ氏をはじめ、米国代表団と対日トランプ関税について話し合った。
しかし貿易品目について具体的・個別的な話し合いはなく、トランプ関税の数値そのものに関して日本側から受け入れ難いと申し入れただけのようだ。今後EU諸国も米国ホワイトハウスでディールに及ぶだろうが、具体的な解決策があるとは思えない。なぜならトランプ関税そのものが具体的な根拠に基づく数値ではないからだ。トランプ氏の「米国の貿易赤字は怪しからん」という極めて感情的な動機がトランプ関税の根拠だからだ。
しかし米国へ輸入されるすべての品目が数十%も「値上げ」されると、その負担は米国民が支払わされることになる。確かに外国からの輸入品が高額になれば国内産品で代替されるだろうが、それにはある程度の時間がかかるし、輸入品以下の価格で販売されることはないだろう。
しかしトランプ氏にはそうせざるを得ない理由がある。それは米国民がすべてエスタブリッシュでないからだ。米国民のすべてがIT企業に就職する能力があるわけではないからだ。ただそうした人々の雇用に受け皿を、米国は長い時間をかけて徐々に海外に移転させてしまった。米国には訓練されていない低学歴の人たちの雇用の場が圧倒的に不足している。
米国は訓練されていない低学歴者の雇用を受け持つ製造業が不足している。単純労働者を必要とする製造現場を米国内に回帰させる必要がある。そのためにトランプ氏は主として日用雑貨を輸入している中国をターゲットにして145%もの高関税を課した。
ただスマホや半導体などの除外を発表したが、それも恐らく一時的な措置ではないか。米国内で組み立てライン工場が出来上がれば、スマホや半導体の輸入に関してもトランプ関税を適用させるだろう。Appleなどの主力製品が除外されたことで安堵している暇はない。それらの経営者は米国内へ製造・組み立て工場を回帰させなければならない。
もちろんNVIDEAも米国内で半導体製造に乗り出すか、米国内のファウンドリー企業を育成するか、TSMCの製造工場を米国内に誘致するしかない。そうした長期的な経営戦略を建てない限り、トランプ関税の影響を軽減することは出来ないし、米国の貿易赤字は減少しないだろう。
ただトランプ関税の発表以後、相互間税により米国債や米国株、さらには米ドルの下落が続いていて、トランプ氏がのんびりとディールしている暇は余りなさそうだ。トランプ氏を支持している共和党内でも、トランプ関税に異を唱える議員も現れている。民主党の反トランプと共闘すれば、議会と対立関係になる事態も考えられ、大統領令への制限が掛けられることもあり得る。今後数ヶ月がトランプ関税を左右する。ホワイトハウスの動向を注視するしかない。