高レベル廃液槽の冷却装置が停止していた事実をあなたは知っているか。

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＜日本原燃は３日、青森県六ヶ所村にある使用済み核燃料再処理工場で、放射能レベルの高い廃液をためている液槽の冷却機能を約８時間にわたって失うトラブルがあったと発表した。外部への放射能漏れなど環境影響はないといい、日本原燃が原因を調べている。

　発表によると、液槽は廃液を処分するため固体化する建屋にあり、水で冷却されている。冷却設備は２系統あるが、うち１系統は工事で停止中だった。２日午後３時半頃、水を送る弁が何らかの理由で閉止し、約２４度だった温度が８度ほど上昇した。作業員が午後１１時４５分頃、弁を手動で開いて水の供給を再開したところ、３日未明、約２５度に戻ったという＞(以上「読売新聞」より引用)



　短い記事だが、内容は深刻だ。「青森県六ヶ所村にある使用済み核燃料再処理工場で、放射能レベルの高い廃液をためている液槽の冷却機能を約８時間にわたって失うトラブルがあった」という。
　高濃度廃液としか表記されてないため、「放射能レベルの高い廃液」の内容が良く解らない。ただ高濃度廃液とは「 使用済燃料が再処理工程で硝酸に溶解されたのちウランとプルトニウムが抽出される（第１抽出サイクルの共除染）工程からの抽出廃液を主体とする高放射性廃液を蒸発処理して発生した濃縮液を「高レベル廃液」と呼んでいる。」との定義がある。

　高レベル廃液の危険性について調べたところドイツ原子炉安全研究所が作成した「旧西ドイツ内務省委託評価報告書一九七六年八月提出 IRS ２９０報 」があった。その資料によると「　再処理工場で冷却施設が完全に停止すると，（高レベル放射性廃液のタンクの）爆発によって工場周囲百キロの範囲で全住民が致死量の十倍〜二百倍の放射線を浴び即死，最終的死亡者数は西独人口の半分の三千万人に上る可能性があるという。再処理工場で冷却施設が完全に停止すると，（高レベル放射性廃液のタンクの）爆発によって工場周囲百キロの範囲で全住民が致死量の十倍〜二百倍の放射線を浴び即死，最終的死亡者数は西独人口の半分の三千万人に上る可能性がある」という。

　日本国内の検証報告としては「高レベル廃液貯槽の冷却喪失した場合、
六ケ所工場の最も早い貯槽では
・約24時間で沸騰が始まる。→新規制基準24時間
・水素が爆発濃度約8時間後→新規制基準84時間
東海工場については
・約48時間で沸騰が開始され、
・発生水素が爆発濃度に達するのは約33時間後
以上国へ2011年報告→新規制基準は2018.7.6報告
＊冷却期間4年→15年，水素4％→8％変更
＊当初原子力学会誌では約15時間で沸騰し， 掃気が止まると約７時間で水素爆発濃度に達するとあった。

　つまり「液槽の冷却機能を約８時間にわたって失う」という事態はかなり危険な状態にあった、ということだ。記事によると「約２４度だった温度が８度ほど上昇した。作業員が午後１１時４５分頃、弁を手動で開いて水の供給を再開したところ、３日未明、約２５度に戻ったという」とあるが、自動廃液槽水温計測記録表などが記者会見で公表されたとの報道はない。
　しかも冷却設備がなぜ停止したのか、その原因も報道されていない。2系統の内1系統は「工事で停止中だった」というが、それがいかなる工事だったのかも明らかにされていない。定期検査による「工事」なのか、消耗品交換の「工事」だったのか、あるいは冷却設備に不具合が生じたため「工事」していたのか、日本原燃は説明する必要がある。

　更に記者会見で「放射能レベルの高い廃液をためている液槽の冷却装置が停止した」としか日本原燃は説明していないが、それが臨界量を含んでいない一時貯槽（25㎥）なのか、高レベル廃液や不溶解残渣廃液の貯槽(120㎥)なのかを明らかにしていないのも気になる。
　かねてから「原子力規制を監視する市民の会」が「レベル廃液はあまりに危険なのでガラス固化安定化させ地層処分する計画です。しかし六ケ所・東海両再処理工場ともガラス固化がうまくいかず，不安定な廃液のまま，かなりの量がそのまま残っている危険な状況にあります」と指摘している点に関しても、日本原燃は説明しなければならない。

　マスメディアは電気需給状況の危険予報などを報じて、電気が足りないと国民に浸透させて暗に原発稼働の世論誘導をしているとしか思えない。だが原発の実態は斯くもお粗末な状況のまま推移していることを国民は知らなければならない。
　読売新聞が報じた高レベル廃液貯蔵槽の冷却装置の停止は極めて危険な状況にあったことを国民は知らなければならない。原発再稼働を叫ぶコメンテータたちがテレビに登場して、電気が足りないなら原発を稼働したらどうか、と安易に発言しているが、彼らは原発行政のかくもお寒い実態を知っているのだろうか。電気が足りないなら火力発電装置を稼働させれば良い。CO2が地球を温暖化させるなどといった荒唐無稽なプロパガンダに踊らされている方がどうかしている。
歴史小説「蒼穹の涯」を出版したいためキャンプファイヤーでクラウドファンディングをはじめました。内容は伊藤博文の誕生から明治四年までで、史実に基づいています。すでに電子書籍は公開していますので、ぜひ電子版をご一読して頂き、宜しかったらご協力をお願い申し上げます。電子書籍URLはhttps://sites.google.com/view/okita1947/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0#h.tsm5cm2bf1rf　です。

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