オールドメディアは相変わらず「プライマリー・バランス」を叫んでいるが、
<7~9月期の実質GDPはマイナス成長になった。ただし、問題は、マイナス成長というより、日本がほぼゼロ成長の状態から脱却できないことだ。 高市早苗内閣の経済成長政策では、城内実・成長戦略相の「高圧経済論」が理論的基礎として使われるだろう。しかし、財政赤字を拡大しても、長期的な成長率を引き上げることはできない。必要とされるのは、長期成長の基盤を作る政策だ。 高市氏は、マーガレット・サッチャー氏の政治姿勢から学びたいとしているが、サッチャー氏は、「減税や財政支出拡大で問題を解決することはできない」と、明確に主張していた。 いま日本で必要とされるのは、財政赤字拡大でもなく、民間企業への投資でもない。成長の基礎となる人材の育成だ。 マイナス成長は一時的、低成長が続くことが問題 17日に発表された7~9月期のGDP速報で、実質成長率は、対前期比0.4%減、年率換算で4.8%減となった。これは、1年半ぶりのマイナス成長だ。 今回のマイナス成長には、いくつかの一時的特殊要因がある。第1に、住宅投資が、前期比9.4%減と落ち込んだこと。これは、4月から省エネ基準が厳しくなったことへの駆け込み需要の反動だ。第2は、トランプ関税の影響で、輸出が前期比1.2%減となったこと。こうしたことを考慮すれば。10~12月期の成長率はプラスに転じる可能性が高い。 しかし、マイナス成長から脱却できなくても、低成長が続くことが問題だ。とりわけ問題なのは個人消費だ。7~9月期には、プラスの成長率ではあったものの、対前期比実質0.1%でしかなかった。つまり、ほとんど増えていない状況だ。 日本の国際的地位は低下 日本がゼロ成長に近い状態から脱却できないため、世界のなかでの日本の地位は低下している。 IMFのデータによれば、2024年における一人あたりGDPは、つぎのとおりだ(単位:ドル。 日本(32,498)、カナダ(54,473)、フランス(46,203)、ドイツ(54,989)、イタリア(40,224)、韓国(36,128)、シンガポール(90,674)、台湾(33,437)、イギリス(52,648)、アメリカ(85,812) 数年前に比べてさえ、大きな変化だ。韓国、台湾、イタリアなど、ながらく日本より下位にあった国・地域に抜かれた。そして、アメリカやシンガポールなどとは、比べ物にな...