「民主主義」対「独裁主義」の戦争に負けてはならない。

<ロシア軍はまもなく、ウクライナ東部ルガンスク州を掌握する見通しだ。ウクライナ軍は同州最後の拠点だったリシチャンスクから部隊を撤退させた。

 ロシアのプーチン大統領はテレビ演説でリシチャンスク掌握を公に伝え、ショイグ国防相に対し、制圧作戦に加わった兵士には休息を取らせ、他の部隊で戦闘を継続するよう指示した。ウクライナ軍もリシチャンスク撤退を認め、大砲や航空機、弾薬、兵員で優位に立つロシア軍を前に防衛を続ければ「致命的な結果」につながっていたと述べた。
 スイスのルガーノで開かれた国際会議でウクライナ政府は国家再建計画を公表。計画にはインフラや気候変動対策、デジタル分野への投資などが盛り込まれている。シュミハリ首相は再建に必要な約7500億ドル(約101兆7500億円)の相当部分について、押収したロシアの資産を財源にすることが可能だと述べた。

 ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

ウクライナの復興、ロシアが支払いを-ウクライナ首相
 シュミハリ首相はルガーノでのウクライナ復興会議の参加者に「ロシアがこの血にまみれた戦争を起こし、この大規模な破壊をもたらした。責任を取る必要がある」と訴えた。同首相によれば、この戦争でウクライナは1000億ドル規模のインフラを失った。世界で凍結されたロシアの資産のうち、3000億-5000億ドルはウクライナ復興に振り向けることが可能だとの見方を同首相は示した。

欧州首脳ら、夏以降にウクライナ復興の国際会議を計画
 欧州委員会のフォンデアライエン委員長はルガーノでの会議で、欧州首脳らは夏以降にウクライナの復興を話し合う国際会議を計画していることを明らかにした。委員長は「世代をまたぐ取り組みが確実に正しく行われるよう、復興に関する世界の英知と第一人者を結集させる」ための会議にすると説明した。
 具体的な目標への言及や資金支援の表明はなかったが、投資家の信頼感を高めるべく資金を効果的に使用する重要性を強調。「何よりも効率的かつ効果的に資金を使用し、ウクライナの人々に最大限の結果をもたらすことだ」と述べた。

中国外務省はロシアの「うそ」拡散やめよ-バーンズ大使が異例の非難
 米国のバーンズ駐中国大使は4日、ウクライナでの戦争を巡りロシアの「うそ」拡散を控えるよう中国外務省に求めた。米国の駐中国大使が直接的かつ公に非難を展開するのは異例。
 バーンズ大使は清華大学主催の世界平和フォーラムで、ロシアのウクライナ侵攻を巡る危機解決に向けて中国ができることは何かとの質問に対する回答で、うそ拡散停止を中国側に「要求」した。また、ロシアの戦争遂行を手助けしないよう中国にあらためて求めた。

オーストラリア、ロシアからの金輸入禁止へ
 オーストラリア首相府はアルバニージー首相のキーウ訪問後に声明を出し、同国がロシアからの金の輸入を禁止すると発表した。ロシアがウクライナでの戦費に充てる収入を削減する日米英加などの取り組みに加わった。

プーチン氏は長期間戦争を継続できるだろう-ショルツ独首相
 ドイツのショルツ首相は先週の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議中に収録されたCBSの番組「フェース・ザ・ネーション」とのインタビューで、ロシアのプーチン大統領が「非常に長期にわたり戦争を継続できるだろう」と語った。
 同首相は「隣国の領土の一部を奪い取るという考えでは成功しないとプーチン氏が理解した時に紛争は終わる」と指摘した。

ロシア軍がリシチャンスク掌握
 ウクライナ軍は3日遅くにフェイスブックに、「リシチャンスクでの激しい戦闘の後、拠点と防御線からの撤退を余儀なくされた」と記した。これによりロシアは、ルガンスクとドネツクから成るドンバス地方の制圧という目標に一歩近づいた。

豪首相がキーウ訪問して追加支援表明
 アルバニージー豪首相はウクライナを訪問して、ゼレンスキー大統領と会談。ドローンなどを含む1億ドル(約135億円)の追加軍事支援を約束した。

日本はロシア産LNG購入継続せざるを得ないだろう-商船三井社長
 日本はロシア産の液化天然ガス(LNG)の輸入を続けざるを得ないだろうと、商船三井の橋本剛社長が英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙に語った。スポット価格の高騰と、日本国内で利用可能な原子力発電所が限られていることを理由に挙げた>(以上「Bloomberg」より引用)



 最近のロシアに関する世界各国の動きなどをBloombergがオムニバス形式で報じている。題して「プーチン氏は長期間戦争を継続できるだろう」とドイツのショルツ首相の言葉を掲げている。
 確かにプーチン氏は戦争を継続できるかも知れないが、勝利は出来ないだろう。ショルツ氏は「継戦能力」を純粋に戦争遂行能力に限定して考えているようだが、戦争遂行には政権への圧倒的支持と、国民の犠牲的協力がなければならない。

 果たしてロシア国民はプーチン氏と運命を共にする覚悟が出来ているだろうか。いやロシア国民に覚悟を問う前に、ロシア軍はプーチン氏に全面的に従うことを約束しているだろうか。それは核兵器使用も辞さない、最前線のロシア軍兵士が被爆することも厭わない覚悟がロシア軍のすべての兵士にあるだろうか。
 そうした物理的な継戦能力以外の環境が継戦を可能にしているのか、という考察をショルツ氏はしているだろうか。ショルツ氏はNATOの主要構成国の首相として、不適切な発言をしたことに気付いているのだろうか。ロシアを応援するマスメディア関係者たちは敢えて「ウクライナ疲れ」という言葉を使用し始めている。それはウクライナへの支援だけでなく、対ロ制裁に関係する世界的なインフレに見舞われ、ウクライナの頑張りを止めさせようとする親ロ派マスメディアの動きだ。

 記事を引用したBloomberg紙はどうだろうか。米国ウォールストリートに巣食うDSの広報紙と見られるBloombergはロシアの侵略戦争に鉄槌を下すべき、とする厳しい姿勢が見られるだろうか。まさしくウクライナで展開されているのは「民主主義」対「独裁主義」の戦いだ。そうした認識などどうでも良く、相変わらず一握りのグローバル投機家たちの金儲けだけしか眼中にないのか。
 日本に関して「日本はロシア産LNG購入継続せざるを得ないだろう-商船三井社長」との一文を掲げているが、サハリン2に参加した三井物産傘下の企業経営者の意見を掲載しても大して参考にならない。それけは三井グループの願望でしかないが、日本政府がLNG輸入総数の9%しか占めていないロシア産LNGに固執するとは思えない。むしろ商船三井社長ならロシアに奪われたサハリン2のLNGに未練を見せるべきではない。なぜ、そうした駆け引きが出来ないのか、経営者としての資質を疑う。

 橋本剛氏がサハリン2のLNGを購入継続するとした根拠を「スポット価格の高騰と、日本国内で利用可能な原子力発電所が限られている」としたようだが、石炭火力発電に踏み切れば簡単に解決する。CO2排出が国際的に困難だから、という理由で火力発電に躊躇しているとしたらお笑いだ。LNGもまた燃焼すればCO2を排出するし、CO2を排出したとしても地球環境にどれほどの影響があるというのだろうか。
 原発を電力発電装置として利用する方が地球環境を根底から破壊する。放射性廃棄物の処理に日本は最終的な決着を未だ見ていないではないか。青森県の最終処理場ですら綱渡りのような運営を余儀なくされているではないか。確かに原発は発電時にはCO2も何も害悪のある物質を排出しないが、原発稼働前後のCO2排出量は目を覆うばかりだ。原発から出た「高濃度廃液」ですら絶えず冷却装置を稼働して冷やさなければ臨界点に達する危険な代物だ。そうした危険性とエネルギー多消費の現実を知った上で、なおも原発再稼働すべきと主張するとしたら無知蒙昧というしかない。

 ウクライナで展開されている「民主主義」対「独裁主義」の戦争に負けるわけにはいかない。なぜなら、それは明日の台湾有事だからだ。兄貴分のロシアがウクライナに侵攻して、弟分の中国に「お前もやってみろ」と習近平氏に持ち掛けた。
 しかし姑息な習近平氏はロシアがどうなるか、ロシアを支援する素振りを見せつつ腕組みして見守っている。「民主主義」対「独裁主義」の戦争で独裁者が勝利すればプーチン氏の手法をそっくり模倣して台湾へ軍事侵攻するだろう。たとえウクライナが敗れたとしても、次は欧州諸国との戦いが待っている。しかし台湾が中国に占領されれば、次は太平洋を挟んで米国本土だ。その下工作に中国は中南米諸国を手懐けているではないか。台湾有事は米国有事でもあることを米国は認識すべきだ。

 Bloombergの能天気な論調に惑わされてはならない。ウクライナで展開されている戦争は「民主主義」対「独裁主義」の戦いであり、それは明日の台湾有事の予行演習であることを忘れてはならない。

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