豪雨災害は古来より治世の要諦とされていた「治山治水」を怠った政治責任だ。

西日本を中心に甚大な被害をもたらしている記録的な豪雨で、政府は自衛隊などによる懸命の救出作業を続けたが、8日午後8時までの報道によると、死者は77人に達した。被害は企業活動にも拡大し、自動車メーカーを中心に操業停止などが相次いでいる。
 共同通信によると、死者は77人、安否不明は40人以上にのぼっている。避難指示・勧告の対象は19府県の260万世帯、計590万人。
 気象庁は高知県、愛媛県、岐阜県に出していた大雨特別警報を8日午後に全て解除したが、増水した河川の氾濫や土砂崩れには厳重な警戒が必要と呼びかけている。
 政府は8日、非常災害本部を設置し、安倍晋三首相は「機動的に態勢を強化し、救命救助や避難の誘導に全力で当たってもらいたい」と指示した。菅義偉官房長官は8日の記者会見で警察、消防、自衛隊、海上保安庁の救助部隊が5万4千人の態勢で捜索活動に取り組んでいると説明。孤立している地域を中心にヘリコプター41機を投入しているとした。激甚災害指定については「関係省庁が早急に被害状況の把握に努める。被災自治体が安心して復旧できるような態勢を取る」と述べ、政府として出来る対応は迅速に行う姿勢を示した。
 一方、企業側でも集中豪雨被害への対応が広がっている。自動車メーカー各社は、道路の通行止めで部品の供給が滞っているとして、中国地方などにある工場の操業を6日夜から7日にかけて停止した。
 マツダは、本社工場(広島県府中町)と防府工場(山口県防府市)の稼働を10日夜(夜勤)まで中止することを決めた。直接、部品供給を受けているサプライヤーの設備などに問題はないが、大雨の影響で物流に影響が出ている。同社の広報担当者は、11日からの操業再開は、10日にあらためて判断するとしている。また、大雨の影響のため、広島本社など当該エリアに勤務する事務職員(間接部門)も9日の出勤は中止する。

 トヨタ自動車傘下のダイハツ工業(大阪府池田市)は、6日夜の操業について、本社工場(同)、滋賀第2工場(滋賀県竜王町)、子会社の大分工場(大分県中津市)と久留米工場(福岡県久留米市)で停止。京都工場(京都府大山崎町)は7日昼の操業を中止した。山陽新聞によると、三菱自動車は6日夜に水島製作所(岡山県倉敷市)の生産を一部中止し、7日の操業も取りやめた。
 パナソニックは、岡山市東区にある業務用放送機器工場で1階が股下程度まで水に浸かっており、工場の電気は止まっている状態。同社によると、工場は近隣に通行規制がかかり近づけない状態という。稼働が再開できるかどうかなどに関しては、9日にならないと確認ができないとしている>(以上「ロイター」より引用)

   
 
  西日本豪雨災害は甚大な被害をもたらした。政府は激甚災害指定については「関係省庁が早急に被害状況の把握に努める。被災自治体が安心して復旧できるような態勢を取る」と官房長官が述べたようだが、なにを暢気な話をしているのだろうか。
 まだ「豪雨」による「自然災害」は終息したわけではないが、これまで確認された被害だけでも「甚大」だ。政治が国民の生命と財産を守るのが第一義的使命とするなら、直ちに政府は税を投じて被災者の救助と社会インフラの復旧措置を講じるべきではないだろうか。

 そもそも国土強靭化を掲げた安倍自公政権の看板を誰が降ろしたのか。日本は災害列島で毎年のように風水害に見舞われ、大地震に襲われる可能性におびえながら、日本国民はそれでも懸命に暮らしている。
 そうした国民の暮らしを守り生命・財産を守る使命は政府にある。そのために税を徴収しているからだ。外交で世界を漫遊するのも結構だが、それはまず充分に国土を強靭化してからにすべきだ。

 高梁川に流れ込む支流が決壊して真備地区が広範に水没したのも「人災」に近い。なぜなら豪雨時の河川合流では支流に本流が逆流して増水することは周知の事実だからだ。
 当然合流地点から下流にかけて「遊水地」の確保と本流が逆流しない流量断面の確保が余裕をもって用意されていなければならない、というのは専門家の間では共有された防災の常識だからだ。

 そうした防災の「常識」に則った治水事業が行われていれば真備地区の水没はなかった。他の山崩れや土砂災害も「防災マップ」作りの過程で危険個所として認識されていたはずだ。
 そうした地域の改良工事や防災工事を五年半前の安倍政権成立当時に着手していたなら、今回の災害の何件かは防げていたはずだ。何も大規模一級河川が大反乱を起こしているのではない。いつもは水の流れない涸沢や小川ほどの流れが災害の発端になっている。

 国土強靭化の看板を下ろしたのは安倍自公政権の公約破りだが、そうさせたのは財務省の「財政収支黒字化目標」論者たちと、それに洗脳されたマスメディアによる「公共事業バラ撒き」プロパガンダだ。
 財政規律を取り戻すためなら、国民がデフレ経済下で貧困化しても構わない、というのが安倍自公政権の政治だ。さらに、自然災害で国民が財産や生命を失っても構わない、といって「公共事業ハラ撒き」キャンペーンを繰り広げたマスメディアも共犯だ。

 日本は世界でも稀に見る「災害列島」だ。国土強靭化を怠れば必ずシッペ返しを受ける。高度経済成長期に整備された全国の堰堤や橋梁などは五十年を過ぎて更新期に入っている。東海道や山陽などの新幹線や全国の高速道路も例外ではない。
 安倍氏はせっかく掲げた「国土強靭化」の看板を下ろした結果を海外漫遊に出かけるのをやめて、被災地を子細に検証して回ってはどうだろうか。それも役にも立たない小役人同伴のパフォーマンスではなく、各地の防災専門家を招聘して「国土強靭化」に必要な対策を拝聴しながら国土強靭化を怠った反省として見廻るべきだ。

 毎年繰り返される豪雨災害は決して自然災害ではない。それは古来から日本の治世者の要とされている「治山治水」を怠った人災そのものだ。

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